★ dream
□(短編)夏の二人
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……!!
沖田はハッとして目を開けた。
「夢か…」
呼吸数が上がって、
心臓がバクバクと鼓動しているのがわかった。
汗だくになった額を拭いながら、沖田は
姉上が夢に出てきたのは、久しぶりだと思う。
夢の中で次第に増していった暗い影とは対照的に、
部屋の障子には、夏特有の目が痛むほどの陽光が当たっていた。
沖田は、寝床からぐったりとしながら這い出ると、
障子を開けた。
真っ白な太陽に光を浴びると、
沖田の姉譲りの亜麻色の髪がさらに輝きを増す。
「同じ年頃の友達ねェ…」
姉の言うことは、すべて叶えたかった。
それが、
自分を育ててくれた姉の献身に対しての恩返しであり、
なにより、姉が笑ってくれることが沖田の救いでもあった。
けれど、“同じ年頃の友達を作る”ということだけは
まだ叶えられていない。
ほんのりと甘い、夏の朝の匂いが沖田の肺を充たしていった。
庭の楡の木が、さわさわと揺れている。
空に、雲は無し。
快晴だ。