11/27の日記

02:34
人がたくさん死ぬ物語
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って、話題になってますよね。
「悪の経典」が映画化されたとか。

わたしが興味深く感じるのは
人がどんどん死んでいく物語が
なぜ社会でヒットするのか?ということです。


これはわたしの独断と偏見なので、
異議がある方はたくさんいらっしゃるかと思いますが、
適当に読み流してくださる感じがいいかと思います。
これは日記というよりは、
たぶん、備忘録的な感じなので、
お忙しい方はスルーして時間を有効にお使いください。

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わたしが今まで見たり聞いたりしたなかで、
あーこれは人がどんどん死ぬなぁと思ったものは
以下です。

 
★清涼院流水『コズミック』(1996年9月)
 高見広春『バトル・ロワイアル』(1999年)
☆奥浩哉『GANTZ』(2000年7月〜)
★がもう『デスノート』(2003年12月から2006年5月)
 小野不由美『屍鬼』(2008年1月号 - 2011年7月号)
 貴志祐介『悪の教典』(2008年7月号〜2010年7月号)
 榊健滋『ǝnígmǝ』(2010年〜2011年)


★マークがついていない作品は
狭い枠の中でサバイバルするもの中心かと思います。
高見さん、小野さんの作品がありますが、
彼らはスティーブン・キングの作品を
オマージュしているんですよね。
キングはウィリアム・ゴールディングの
「蝿の王」(1954年)の影響をかなり受けているので、

ゴールディング

キング

高見広春・小野不由美

という流れを組んでいると思います。
なので、たぶん、
★作品はおそらくそこらへんから来ている流れなのでしょう。

ちゃんと人間個人が死に対して抗う姿が描かれている作品かと思います。


★マークがついているのは、
人がどんどん大量に大した意味無く死んでいくもの。

あきらかに、清涼院とがもうは、
人をパチンパチンと消していってますよね。
個人が死に抵抗する術が描かれていない、というか…。


清涼院は、このシリーズで
最終的に神話の世界へと次元を移しました。

デスノに関しても、まず
ライトの力が死神の力であるという時点で
神の世界が関係してくるわけです。
デスノ最終回では、
ミサミサの神々しい姿が印象的でした。

だからですかねー。
ムスカの言うところの、
人間がゴミのように消えていきます。

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1996年あたりを皮切りに
人がどんどん死んでいくと言う物語が描かれたはじめるというのは、
ベタで言い古された意見かもしれないですが、
1995年の地下鉄サリン事件と阪神・淡路大震災が影響しているかもしれません。


神戸出身の清涼院はコズミックを書くにあたって、
大震災がきっかけみたいなことを述べているみたいです。
そうなると、やっぱり、自然が相手ということで、
作る作品の結末は神話や神の世界に移行せざるをえないのかもしれません。


サリンの方は、
たぶん、人が大量に死ぬんだ!
人を大量に殺せるようなカルト集団がいるんだ!ということで、かなりびっくりしたんでしょうね。
「三丁目の夕日」の世界ではありえないことが起こってしまった。

だから、人々はもしかしたら死ぬかもしれない、
もしかしたら明日殺されるかもしれない、
もしかしたらどこかに悪の宗教の手下が潜んでいるかもしれない!みたいな感じでブルっちゃったんでしょうね。

だからこそ、
謎の殺人集団に立ち向かって生き延びようとする物語が
描かれはじめたんでしょう。
これも読んでないですが、
『21世紀少年』もあの事件の影響受けたとか。


上記の作品群に、中学生や高校生が多く描かれたのは、
1997年の神戸連続児童殺傷事件の影響でしょうか?


あの事件は明らかに大人たちの子ども観を変えました。
今まで作品としては、
大江健三郎の「飼育」やら何やらで
子どもの残虐性を描いたものはたくさんあったのですが、
何だかんだ言って、現実の子どもはそうではない、みたいなところがあった。
なので、
当時はすごい衝撃だったようで
連日連夜、テレビの特集が組まれていました。
子どもの聖性が崩れ去った…みたいな感じでしょうか。
女子高生の援交とか、そういうのもありましたねー

というか、もうすでにあの時代、
エヴァ(1996年〜1997年)が放送されていたように
大の大人たちが中学生をロボットにのせて
世界を救えとか言っているアニメが出来ていたように、
さかきばらの事件が起こる前から、
子どもをめぐる言説の変化はあったわけです。


ということで、わたしなりに
★と★なしの作品の大まかな分類基準が出来て
さらになぜ1996年代からそれら書かれはじめたのか
そして、分類別の一因が推測できたました。
ので、寝ます。

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以下、蛇足です。

☆マークのガンツに関しては、
全部読んでないし、ちょっと判断をつけにくいです。
漫画の最初は、生とは、死とはなにか?
正義とは何か?というテーゼが感じられましたが、
だんだんと宇宙人が地球を襲ってくるようになるらしいし、ちょっと判断つけ辛い感じです。今度読んでみます。

あとは『漂流教室』も読んでいないのでよく分かりません。
あの作品はどこに位置づけられますかね?
やっぱり、「蝿の王」から出来たものなんでしょうけど…。

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これらの作品についてですが、
否定するつもりも肯定するつもりもまったくないです。
ときどきこういう作品の模倣や真似など、
短絡的かつ創造性の無いことする奴もいますが、
むしろ、社会の鏡にような役割をしているし、
ライトで読みやすいので、そこから問題を汲み取って
自分の問題にもひきつけて、
積極的に論じていくべきだなぁと思います。

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