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□我慢大会!
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※エリクGOODED後
黒エリク
ティアナ=主人公





「おーい」
『……』
「なまえー?」
『……』


久々にカトライアに居るなまえに会いに来てみればこれだ。
玄関を開けたときは驚いた表情とともにぱあっと顔を輝かせたくせに、すぐにあ、と呟いてふて腐れ顔になった。
僕を居間に通して以降、背を向けて体育座りして、顔を伏せてしまった。
何度呼びかけてもひたすら無視されている状態。
一体僕が何をしたって言うんだ。
思いあたる節なんて、
………あ。


「手紙のこと?」
『……』


思いあたったのは、僕たちは思いが通じて以来文通をしているのだが、一週間ほど前になまえから手紙が届いたのに返事をしなかったことだ。
もちろんその一回だけならなまえがこんなにも拗ねるはずがないが……
今期に入って、もう片手で数えられない回数は返事を遅延していた。

返事が無いから本当にそれが原因かどうかは分からないけど、きっと間違いない。


「違った?

ねえ、いつまでだんまり決めこむつもり?
そんなに僕に会いたくなかった?」
『っ……』


一瞬ぴくりと反応したがあくまでも声は出さない。
どうやら本格的に無視されているらしい。


「どうしても何も言ってくれないわけ?」
『……』


伏せている腕の隙間から見える表情を読み取る限り、本当に拒否されているわけじゃないのは分かる。
いや、そんなの見なくたってなまえが僕を本気で拒否するなんてありえないんだけどね。

ふーん、そっか。
それなら僕にも考えがある。


「ああ、そう。
声出したくないならださないでいいよ。
あ、むしろゲームしようか。」
『……?』

「僕が飽きるまでに一言も声を出さなかったらなまえの勝ち。
なんでも一つ、僕に命令して良いよ。

そのかわり僕が勝ったら、当然だけど僕の言う事をなんでも聞いてもらうから」
『!……』


首だけ少し此方を向いたけど、相変わらずの無言。
この無言は今の提案に乗ったと見ていいよね。
ソファから立ち上がってさっと近づき、再び腕に顔をうずめたなまえの後ろにまわる。


「じゃ、さっそくスタート。

言っておくけど全力でいくよ?」


耳の攻撃に弱いなまえ。
耳元に唇を寄せて囁くと、いつもは悲鳴に近い声を上げるのに今日は必死に耐えていた。
そんな可愛い反応は僕の攻撃意欲を高めさせるだけだと知らず、なまえは小さく体を震わせる。


「なに、もう感じちゃったの?」
『っ……』


ゲームに乗っているせいで、負けず嫌いななまえは反論できず、キッと顔を上げて睨みつけてくる。
だからいつも言ってるのに、逆効果だって。
間をおいて、さすがになまえも今の行動の効果を理解したらしく、慌てて顔を伏せようとするがもう遅い。
一足先に後頭部を右手で捕まえ、半開きのままの唇に僕のそれを押し付けた。


『っ……ん、』
「……まあ、吐息はカウントしないであげるよ」


数ヶ月ぶりの口付けを、欲を抑えることなく堪能する。
なまえは嫌がるそぶりを見せるものの、僕と同様、久々のキスに酔っているように見えた。
なまえが漏れ出る吐息以外の声を出さないという初めてのタイプのキスだけど。


「……さ、じゃあ次いこうか」
『っ、はぁっ……』


長い口付けにすっかり力が入らなくなってしまったなまえから一度手を離す。
なまえは、ふいと後ろを向いてしまったけどむしろ都合がいい。
体育座りしているがためにがら空きになっている脇から両手をしのばせ、細身なのにしっかりある胸を捕らえた。
もうこの時点で僕が飽きることなんてありえないから、なまえはきっと自分の負けだという事がわかっているはず。
だけど負けず嫌いなプライドが邪魔しているらしく、下からゆるく揉んでもわずかな吐息しか漏らさない。

それならばとこの状態のまま器用に前のボタンを外し、下着越しに触れる。
つらそうな吐息が漏れる頻度がだんだん増えてきて、下着の下に手を滑り込ませて既に硬くなっていた頂点に触れると、ついに声を漏らした。


『っぁ……』
「…勝負がついたってことで良い?」

そういいながらも、こんどは後ろのホックを外して好きなように胸を弄ぶ。
なまえはもう声を出してもいいのかと困惑しているようで、もどかしそうだったから再び胸の飾りを摘んで喘がせた。


『わ、私の負け、だから、もう…』


ついにちゃんと口を開いたなまえ。
どうしてやろうかと左手を顎に当てて見下ろすようにして考えていると……ふと腕時計が視界に入る。
3時。
……まずい、そろそろ……



玄関から物音が聞こえる。
一瞬焦ったが、とりあえずこんな姿のなまえを他の人に見せるわけにはいかないので、どうしていいか分からない様子のなまえに着ていたジャケットをかぶせる。
ちょっとまってて、と言って急ぎ目で玄関に向かった。


「時間です、エリク殿下。」
「クラウス……」


もともとファザーンから日帰りのサプライズ旅行として来ていたため、3時までという約束でクラウスが付き添いとしてなまえの家に来ていた。
それにしてもクラウスは3時ジャストに来て急かしているあたり……まだなまえ絡みの敵対心を向けられているのは間違いない。
僕が羽織らせたジャケットの前ボタンをきっちりとめたなまえが着いてきていて、やむを得ず事情を話した。


「ってわけだから、続きができなくて悪いけどもう帰らないといけないんだよね」
『続きって……!

……エリク、あの…手紙は、』
「ああ、やっぱりそれか。
何度も返事できなくて本当悪いと思ってる」
『どうして……?』

「……言い訳にしかならないけど、会いに来ようと思ってたのにファザーンの方が忙しくて全然抜けられる状況じゃなかったから、今日のためにここに来る計画を立ててたんだよね」


これは本当だ。
マティアスがこの時期は人手が足りないと言って、癪な事にさんざんこき使われていた。
おかげで手紙が届いても読むのは数日後だし、会いに行こうと思ってもまったくそんな状況じゃないし。

心の中で人使いの荒い国王に悪態をついていると、なまえは目を丸くしていた。


『わたしに、会いに来てくれるために……?』
「もちろんそう。
ま、結局今日出国の許可は取ってないんだけどね。」
『――っ、ごめんねエリク……!』


ぎゅっと抱きついてくるなまえ。
むしろ謝らないといけないのはこっちな気がしたけどこの場は何も言わないでおくことにした。


「エリク殿下、そろそろ……」
「ああ、わかってる。



なまえ、続きはまた今度、ね?」
『きゃ……っ!』


不意打ちに耳元で囁くと、顔を真っ赤にして小さく悲鳴をあげた。
こういう初々しい反応の方がなまえに合っている。
もうめったに見れらないだろうけど、必死にこらえる姿はかなりそそられたのは本人にはまだ秘密にしておこう。





我慢大会!
(また今度このプレイしてみようかな)




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反省会

クラウス後半空気……!
ティアナ好きすぎてプレイ中に浮かんだネタでした。
詰まるところの出来心でした。


2012.02.19




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