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□純情恋心?
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※ティアナ≠主人公
Not本編沿い
ザルディーネの学校の同級生






「だーからその公式に今でた数値を代入して、」
『え、なんでこうなるの?』
「だあああっ!!」


きょとんとした表情で疑問の言葉を発したのは同じクラスのなまえ。
しっかり者に見せたいらしいが…正直周りの人は全然そんな認識をしていない。
むしろかなりの天然。
話しかけやすく、俺にとって唯一の何でも話せる女子だったりする。
だからこうして勉強会らしきものを開いてやっていた。
学校の最上階にある、天窓がついていて長机や椅子もある割と綺麗な空き部屋(本当は第2音楽室らしいが今はほとんど使われていない)を借りて。
一応俺たちのようにいいとこのお嬢様らしいが、全くどうしてコイツはこんなにも理解力が無いんだ。


『ち、ちょっとやり方忘れちゃっただけよ。で…どうするんだっけ?』
「ちょっとは自分で考えてみろよ!」
『ルシア私なんかより頭良いんだから、もったいぶらずに教えてくれても良いじゃない!いじわる!』
「さっきから何回言ったよその台詞!」


理解さえすれば後は完璧なくせにその理解が遅すぎる。
大体、すぐに答えを欲しがったりして甘いから理解が余計に遅くなるんだ。

……まあ、甘やかしてしまっている俺にも問題はあるかもしれないけど。

甘やかしてしまっている原因は……私情ゆえ、だ。
正直こんな天然っ子はタイプじゃないと思っていたのに。
こうして何の警戒心ももたれずに二人きりになっているなんて脈無しの証拠じゃね…?
自分で考えて虚しくなってきた。なんて馬鹿なんだ俺。

ちらりと隣に座っているなまえを見る。
少し意識したせいかなまえの……シャンプーの香り?かは定かじゃないが、何か良い匂いがして。
うわ、なんか今の発言変態ちっくだった何やってんだ俺。


『わっかんないなあー…』


こんなにガキくさい態度とったり多少頭が弱くても、んー、と手を口元に当てて真剣に考えている仕草はどこか大人で、色っぽくて。
綺麗に結い上げている髪の間からうなじが見えていて……

って、ちょ、本当何考えてんだよ俺……!


「っ、5分考えて、それでも分からなかったら呼べ!」
『え?ちょっルシア!』


長机の上に腕を組み顔をうずめる。
このままなまえを見てたらよこしまなことしか浮かばない気がした。

だけどそれはあまり意味を成さないことになった。


『あーもう分かんない。私勉強飽きちゃったわ。ねえルシアお話しましょう!
えーとね、話題は……ここはオーソドックスに恋話をするべきね、うん。で、ルシアはやっぱ好きな人とかいるのー?』
「……お前そんなに饒舌だったか?」
『だって話しかけなかったらいつもみたいにルシア寝ちゃうでしょう?
で、どうなの?あ、私は居るのよ!』

「…え?あ?」
『え?』


がばりと上体を起こす。
今なんて?
え、もしかしてなまえは好きな奴が居る、なんて言ったのか…?


「なまえに?好きな奴?」
『え、なに、そんなにおかしかった?』
「…お前もそんなこと思う相手いるんだなーって。
そもそも、お前に好かれるやつって…」
『どういう意味よ!』
「や、そのままの意味」


なによ!と若干拗ねた様子で頬を膨らますなまえ。
がきっぽい行動のはずなのにさっき変に意識したせいで、それさえもどうしようもなく愛しく思えて抱きしめたい衝動に駆られる。
でも、だめだ。話題が話題だ。
今なまえは好きな人が居るといったばかりなんだからこんな俺の感情は、


『その私に好かれる人が変人だとでも言いたいの?
じゃあルシアは相当な変人ね』
「………は?」
『あーあ、勢いなんかで言っちゃった。
っていうか……え、気づいてなかったの?』
「っはぁ!?」


何を言い出すんだこいつは。
つまり、だ。要約すると。
なまえが、俺のことを、好き?


『けっこうアピールしてたつもりなのになあー……』
「なにをどうアピールしてたんだよ……」


アピールされていた記憶が欠片も浮かばないのはどういうことだよ。
…まさか、俺がこの感情を隠すために必死に努力?してたせいで気づいていなかったとか……!?
うわ何してんだ俺……


『ルシアの好きなオレンジ色で文具をそろえてみたり、』
「……え?」
『ルシアの鞄にあめ入れてみたり』
「…あれお前だったのかよ」
『ほ、本当はわかってるのに数学の問題分からないふりしたり!』
「いやそれは本当に分かってないだろ」
『や、休み時間に目で追っかけてみたりとかっ!』
「……」


……小学生か!
心の中でだけ呟く。
だってこれは……可愛過ぎる。反則だ。
……。
………。
両想いってことだ。よし、問題ない。

自己完結したらもう行動は早く、ぎゅううっとなまえを抱きしめた。
固まってしまったなまえの右手からシャープペンシルが落ちて転がる。
当然だが、こんなに近くでなまえを見たのは初めてだ。
こんなに真っ赤になったなまえを見るのも初めて。
やべ、抑え効かねー…


『ル、ルシア!?
ちょ……っん、』


頭を押さえ込むようにして唇を重ねた。
俺はもちろん初めてだけど、この様子からしてなまえも初めてに見える。
俺の勝手な願望かもしれないけど。


「っ、好きだ……」
『!』


一度唇を離して思いを告げるとなまえは心底驚いた表情をした。
当然俺も心底驚いた表情をする。


『え、ほ、本当……?』
「こんな時に嘘なんて言うかよ」
『本っ当の本当に!?』
「本っ当の本当だよ!!」
『〜〜〜っ!嬉しい!』
「っうわ!」


キスした時点で俺の気持ちが分かってると思ったけど、どうやらこいつはそんなに甘くは無かったらしい。
っていうか、じゃあキスした時点では俺は好きでもない奴にキスしてる…なんて思われてたのか!?
それはなんというか…虚しい。

なんて思っていたら、なんとなまえから唇を重ねてきた。
下手くそに、勢いよく来たから若干痛かったけどそんなの気にならないくらい愛しさが溢れてくる。
やっぱりガキくさいなんて訂正。
……吐息エロいんだよ!

照れ隠しも混じって、抵抗されないのをいいことに、本能のままねっとりと深い口付けをした。

あとで確認したけど、お互い初キスだった。それにしてはちょっとやりすぎたか?とも思ったが、……まあその後の進み具合も早かったわけで。
両片思いの期間が長かったらしい俺たちには、初めてでもあのくらいのキスは丁度良かったのかなとも思う。



純情恋心?
(ま、結局一週間後には最後まで進んだわけだけども)


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反省会

……あ、あれ?
どうしてこうなった最後の一文……
思春期…というか発情期(w)な初々しいルシアくんが書きたくなった私の犯行です(・н・)w
安定のキャラ崩壊。
……後悔はしていない。反省はしています\(´`)/




2012.02.22


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