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□自滅からの自滅
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※テァアナ≠主人公
アルフレート⇔主人公



ぽさ、とベッドに倒れこむ。
今日はザルディーネに行って兵に剣術を教えて、本来なら一泊して戻る予定だったのにマティアスから連絡が入って急遽日帰りになった。
しかもどんな重要な用事かと思って身構えていたら、さっき俺が帰り着いた時にはもう解決した、と。
いや、大事がないに越したことは無いが、さすがに体力的にも精神的にも疲れてしまってこの有り様というわけだ。
この程度でこんなにも疲れるなんて……やはり日ごろの鍛錬が足りないのか?
ベッドに寝転んだ事で怠けそうになった体を起こす。
さすがになにもしないまま寝るのは気が引けた。


軽く荷物を持ってシャワールームで汗を流し、ぬれた髪は軽くふいただけのまま、肩にタオルをかけて部屋に戻ってきた。
今日はもう早めに休むとするか……





『……失礼しまーす』
「……は?」
『え?』


シャワールームに持っていった荷物を置こうとすると、ドアが勝手に開いてメイドの格好をした女が入ってきた。
この城にいるメイドといえば掃除か食事担当で、この階まで上がってくる必要が無いはずだ。
ノックも無しに、なんて無礼な。
腰に忍ばせてある短剣に手を添えた。


「何の用だ」
『え、え、なんでいるの!?』
「……?
なっ!
なまえ…!?」


ありえない格好とありえない場所だったから気づくのが遅れてしまった。
なまえ。隣にある島国の王室の一人娘。
俺が交際している相手だ。
もちろん公にはしていないが。

そんなことは今はどうでもいい。
重要なのは、だ。

なぜ、メイド姿なんだ……


『マティアスが今日はアルフレートいないって言ってたのに……』
「……状況を詳しく説明してくれ」


とりあえずずっとドアの前に立ち尽くしているわけにも行かないので部屋に通す。
さっき俺が倒れこんだせいで少し皺がよっているベッドに2人で腰掛けた。
誘導するあいだ、身分上ありえないなまえのメイド姿から目が放せなかったのは…仕方が無い。


『あー、えーっと私の状況だっけ?
昼に来たんだけどね、マティアスが
「アルフレートは今日はいない。お前もここに居るのがばれたらまずいんじゃないか。
というか、またかくまって欲しいのか」
って言うからうんって言ったらメイド服貸してくれたの。』
「なぜそこでメイド服なんだ。
しかもお前またこっそり国を抜け出してきたのか?」
『ち、違うよ!
一日学ぶ旅に出てくるから探さないでねって……置き手紙してきたもん』
「置き手紙……?」


なんというか……相変わらずすることがはちゃめちゃだ。
なまえは置き手紙をして外出していいような身分じゃないはずだ。
まああそこの国王と王妃、なまえの両親はそれ以上にルーズで楽主義だから、毎度のごとく特に問題は無いんだろうが。


『でね、何もしないメイドがいたら怪しまれるから夜に空き部屋の掃除でもして来いって言われて、指定された部屋がここなの。
アルフレートが居て、しかも短剣構えようとしてたからびっくりしちゃった』
「……すべてマティアスの思惑ということか…」


大方、俺を急いで呼び戻したのもなまえにどっきり的に会わせるためだったんだろう。
そして……なまえにメイド服を着せたのは確実に俺をからかうためだ。
しかも誰の計らいか、うちのメイド服は他所と比べて丈が短い。
動きやすく、もしもの時に備えやすいからという理由らしいが…
いままでメイドに意識を向けたことなどなかったが、なまえが着ているとなると別だ。
色々とまずい。


「家出のようなことをしてまで、何をしにきたんだ?」
『もう、わかんないの?
……寂しかったの、』
「っ!」


今更過ぎるが…どうして俺はメイド姿のなまえをベッドに誘導なんてしたんだ。
これでは自滅だ。
とりあえず、自分の発言に照れたのか若干俯いてしまったなまえの顎をもちあげ、ごく自然な流れで口付けをした。

……だがこれも自滅となった。
そもそもこの状況で口付けてしまった時点で理性が押さえられなくなるのは分かりきっていた事なのに。


「…すまない、無理そうだ」
『え……っきゃ!』


乱暴にならないようになまえを押し倒した。
なまえは顔を朱に染めて黙り込んでしまった。
交際は短くないので初めてではないが、回数を重ねてもなまえは初々しい恥ずかしがり方のままだ。
いつも通りの反応に異論は無いとみなして再び口付ける。
少しして背中に手を回されたのを合図に、なまえが息苦しそうに押し返してくるまで何度も口付けた。


『…は…ぁ、……っあ! や、アルフレート…』
「どうした?」



口付けが終わると同時に、なまえはいつのまにか自分の胸元がはだけているのに気がついた。
元々手先は器用なほうだとは思っていたが、こういうことに関して器用になるなんて昔は夢にも思わなかった。
そして、自分が人並み程度とはいえ、こちらの欲があるとも思っていなかった。
白いレースのフリルがたっぷり使われている胸元がはだけているのは妙に色っぽくて……正直、異常なほどに欲を掻き立てられる。
前回鎖骨の下につけた所有印が薄くなっているのに気がついて重ね付けした。


『っ!またつけたのね。
……もしかして、アルフレートって、メイド服がすきなの?』
「……は?」


突然の斜め上を行くなまえの発言に、レースに手をかけていた手が止まる。
どうやったらメイド服が好きなんていう結論にたどり着くんだ……


「その言い方は、俺がメイド服好きな変態みたいじゃないか…」
『やだ、そんな意味じゃないよ。
だって、アルフレートったらいつもより興奮しているように見えるんだもん』
「お前は何を言い出すかと思えば……」


…だが否定もできない。
興奮という言い方もあながち間違いでは無いかもしれないが……
本人から言われた事で少し冷静になり
、さすがに理性が飛びすぎていたことに気がついてなんとなくバツが悪くなる。


「……すまない、お前の言う通りみたいだ」『え、や、やめるの…?』
「なまえが望むなら、今日はやめておく」
『望まないならやめないの?』
「……あぁ」


私は、の、望んでないよ、なんて赤面されながら言われたから思わず俺まで顔に熱が集まった。
そして本人なりの照れ隠しなのか知らないが、上に居る俺の頭をぎゅっと抱え込まれた。さっき胸元をはだけさせたままで、当然頭を抱え込まれたら下着越しに直接当たるわけで。


「っ、なまえ!」
『あっ、髪濡れてる。シャンプーの匂いがするね』


無邪気に、更にぎゅっと抱え込まれたものだからたまらない。
髪を生乾きのままにしておいたのが悪かった。

さっき戻ったはずの理性は再び何処かに消え去る。
フリーだった両手をなまえの甘い声を聞くために再び動かした。




自滅からの自滅
(またメイド服借りてお城に遊びに来るね!)
(……やめてくれ、また理性が持たない…)



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反省会

せっかくのメイド服設定を生かしきれなかったですorz

今更ですが微裏ってどこまでが微裏なんでしょう。
境界線分からない。
このままだと限りなくアウトに近いアウトな微裏をかいてしまいそうです(^д^)/ヤバイむしろもう裏を書いちゃってもいいのでしょうか……いえ、やめておきます←
でもこれの続編の裏が書いてみたかったりします(笑)


2012.02.29

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