舞台裏

□同期2
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運転組の車の整備を一部するようになってから、ニコライはミリツィアでの生活が楽しくなってきた。
相変わらず同期からは浮いているものの、運転組の先輩達の中には何とか溶け込むことが出来たからだ。
やはり、軍家の者だと知られていたが、『車が好き』という共通点で、皆気さくに話しかけてくれる。
車に対する知識が増えていくのも、楽しみのひとつであった。

そんな中、同期の一人、コプチェフ=オルロワが、ニコライに運転技術を教えてくれ、と頼み込んできた。
最初は渋っていたニコライであったが、イリヤが自分を推薦してくれたことを知り、引き受けたのだ。

コプチェフは、一見軽薄そうな感じを受ける少しニヤケた顔付きであるが、付き合ってみると誠実な性格だということがわかる。
軍家の者だということを、あまり気にしないでいてくれるのも、ニコライにはありがたかった。
人当たりの良いコプチェフが間に入ってくれたおかげで、同期とも徐々に打ち解けることが出来た。

『最初の一歩からこんなに進んでいくなんて、凄いなー』

いつもレオニードのアドバイスに感謝しているため、コプチェフとの雑談の中で
「誰か気になる奴いねーの?」
と聞かれた時、つい
『レオニード』
とニコライは答えてしまった。
コプチェフにはかなり驚かれたが、派手で陽気な彼と、地味で陰気な自分では釣り合わないことは、ニコライは十分承知している。
それでも、お礼くらいは伝えたい、とずっと思っていたのであった。
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