舞台裏
□同期3
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一日自習だった日の翌日、実技実習のペアを組むボリスを待つため、ニコライは実習車の中にいた。
『遅いなあ…
どうしたんだろう?
特に連絡は無かったけど、具合でも悪くなったのかな』
そんなことをツラツラ考えていると、寮の扉からレオニードが出てくるのが見えた。
ボリスも一緒にいる。
しかし、自分の車に向かって歩いてくるのは、レオニードであった。
助手席のドアを開け、乗り込んでくる。
ビックリした顔のニコライに向かい
「ボリスと変更してもらっちゃった。」
いつものように悪戯っぽく、ニヒヒっと笑う。
「教官に許可とらなくて大丈夫かな。」
少し困った顔のニコライに
「今日は狙撃実習が主だから、誰の車に乗ってたって変わりゃしないし、直前に言えば大丈夫だよ。」
レオニードは気楽な口調で言う。
「そうだね。」
ニコライは頷き、そのまま車を発進させる。
「オレさー、次の約束も取り付けられず、すんなり去られたの初めてかも。」
「え?」
一瞬、何のことを言われているかわからないニコライであったが、昨日の自分のことか、とすぐ思い至った。
「あ、ごめん。
すぐに誘うのも不躾かなって。」
真っ赤になりながら、しどろもどろに弁解する。
「お前って、面白い奴。
ちょっと、気に入っちゃった。」
クスクスと笑いながら、楽しそうな顔でレオニードは言う。
『純なお坊っちゃんだな、こいつ
一緒にいると、何か癒されるなー』
自分の言葉で益々赤くなるニコライを見て、レオニードはそんな事を思った。