舞台裏

□先輩5
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新規生が入隊して半年を過ぎると、そろそろ自分が運転組と狙撃組どちらに所属したいか決めている者も多くなっていた。
そんな新規生に先輩達も、自分の組に所属確定と思われる者には多少甘い顔を見せるようになる。
コプチェフは早くから運転組の先輩達にアピールしていたので、昼休みに実習車を使わせてもらえるようになっていた。
そのため、ミリツィアの建物から少し離れた場所にあるカフェがお気に入りのボリスを、ランチの時間に実習車で移動出来る強みで誘いやすかった。

今日もコプチェフは、ボリスを乗せてカフェに向け実習車を走らせる。
「昨日、大会があったんだよな。
 今年の首位は誰だろう。」
ボリスが、少し興奮気味にコプチェフに話しかけた。
「お、もうそんな時期か。
 去年の大会は、白熱したなー。
 もうちっとだったのに、結局お前に勝てなかったもんな。」
コプチェフが笑ってそれに答える。
「そうだな。
 後半追い上げられて、抜かされるかと冷や冷やしたよ。
 カフェに着いたら新聞買って、首位者確認するか。」
ボリスがウキウキと続けた。

カフェに着くと外のテラス席に荷物を置く。
「いつものセットで良いなら俺が一緒に買ってきてやるから、お前、雑貨屋で新聞買ってこいよ。

そんなコプチェフの申し出に、ボリスは瞳を輝かせて
「そうか?
 じゃあ、お願いするよ。」
素直に頼むと、足早に雑貨屋に消えて行った。
ボリスの後ろ姿を見送りながら
『可愛いな〜』
コプチェフはニヤニヤ笑いを浮かべていた。

2人分のランチセットをトレイにのせてコプチェフが席に戻ると、ボリスは既に新聞を広げている。
「やっぱりな。
 今年の首位はユーリだよ。」
ボリスが新聞の記事を指し示しながら、コプチェフに話しかけた。
「知り合いか?」
コプチェフがキョトンとした顔で訪ねると、ボリスはガクリと肩を落とした。

「お前…
 覚えてないの?
 去年3位だった奴だろ?
 俺とお前が抜けたから、今年は彼が首位とるんじゃないかと思ってたんだ。」
呆れ顔のボリスに
「いやー、お前との白熱戦で、他の奴の事なんて覚えてないよ。
 そういや、何かちっこい奴が表彰台に一緒にいたような。」
コプチェフが記憶を辿る。
「あ、うん。
 確かに小柄だったよな。
 あの身長で、よく長い銃を扱えるもんだ、と感心してたんだ。
 確か、去年が初出場だったとか。」
「イリヤ先輩より小さかったかな?」
「もしかしたら、そうかも…」
2人は食事をしながら、とりとめのない会話に花を咲かせる。
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