ウサッビチ1
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教室に集められた新規生全員に、希望調書が配られた。
「運転組と狙撃組、どちらに配属されたいか希望を書いて提出してくれ。
同時に、ペアを組みたい者がいたら、その名前も併せて書けよ。
出来る限り考慮するつもりだ。」
イリヤが用紙を配って回る。
「提出期限は月末だからな。
配属後、再変更出来なくも無いが、よく考えて書くように。」
ミハエルが注意する。
「ペアを組みたい者がいなかったり、誰かと希望が被っている場合は、こちらで成績を基に組ませてもらう。
その場合は、前もって打診するつもりだ。
心の準備があるだろうからな。」
イリヤがニヤリと笑って言った。
「では解散。
午後は自習だ。
射撃場の銃とガレージの実習車は自由に使って良いから、最後の追い込みだと思って頑張れよ。」
ミハエルはそう言うと、イリヤと供に教室を後にした。
『俺、イリヤ先輩より早くなってんのかな
よく考えたら、比べようが無いジャンよ』
コプチェフは思案顔であった。
チラリとボリスを見ると、こちらを見ていたらしく、一瞬目が合ったがすぐに逸らされてしまった。
『ペア希望で、俺の名前書いてくれないかな…』
ハーッと溜め息をつくと、机に突っ伏した。
また、チラリととボリスを見ると、同期の一人に話しかけられていた。
『ちっ、あいつもボリス狙いか』
大々的にボリス狙いをアピールしてきたコプチェフだが、大会首位者のボリスとペアを組みたがる者は、やはり他にもいるのだ。
『イリヤ先輩に個人訓練とかしてもらえればな〜
ダメ元で頼んでみっか!!』
コプチェフはガバッと起き上がると、イリヤを探すために教室を出ていった。