舞台裏

□同期2
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後には2人だけが残されている。
レオニードはニコライの腕に絡めていた自分の腕を外し
「お前も、ありがとな。」
とニッコリと笑顔を見せた。
「腕、震えてたぞ。」
他に聞くものが居ないにも関わらず、声をひそめてニコライの耳元で囁くと、悪戯っぽくニヒヒっと笑う。

「あ…」
先程からレオニードに張り付かれてどう反応して良いかわからず、赤くなっていたニコライは俯いた。
そんなニコライから離れ、レオニードは荷物を纏め始める。

「あの。」
意を決してニコライが口を開く。
「ん?」
振り返ってレオニードは首を傾げてみせる。
「僕、君にお礼が言いたくて。
 ありがとう!!」
ニコライが深々と頭を下げた。

「え?
 オレ何かしたっけ??」
益々首を傾げるレオニード。
「もう忘れてるかもしれないけど、まだここに入ったばかりの頃、君、僕に『動き出さないと始まらない。動いてみても上手くいかないかもしれないけど、それでも動いた分だけ進んでるんだ。何もしないよりずっと良い』って言ってくれたよね。」

ニコライにそんなことを言われ、レオニードは記憶を辿る。
「ああ、そんな話、したことあったっけな〜。」
とは言うものの、細かい内容は覚えていなかった。
進路についてグチグチ悩むニコライに、ありきたりな励ましの言葉をかけただけだった記憶がある。
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