舞台裏
□同期3
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やがて、ニコライ達の番がやってきた。
スタート地点に立つミハエルが
「あれ、お前ら予定表の組み合わせと違うぞ?」
と声をかけるがレオニードは
「あ、ちょっとボリスと変更してもらったんです。
今日の実習って、誰の車に乗っててもあんま変わんないし、大丈夫ですよね?」
と軽く言った。
「まあ、今日は実験みたいな実習だから、良いか。」
ミハエルは頷くと、金色のリボンと、それと同じ色のペイント弾をレオニードに渡した。
「このリボンに名前と出発時刻を書いて、ゴールにいるイリヤに渡してくれ。
弾は全部使い切らなくても良いが、1発当てれば1点入るから、撃ちまくった方が良いぞ。
5分後には後続車が出発するから、追いつかれないよう、サッサと走れよ。」
他の新規生にもした注意を繰り返す。
「今から2分後にスタートだ。」
レオニードが慌ててリボンに名前と出発時刻を書き込み、ペイント弾を装填する。
「ゴーッ!!」
ミハエルの合図と共に、ニコライは車を発車させた。
暫く行くと、前方の木にリボンがくくり付けられているのが見えてきた。
「減速するよ。」
流れていた車外の風景が緩やかなものとなる。
レオニードは沢山あるリボンの中から金色の物に狙いを定めて引き金を引いたが、発射した3発中、1発しか当たらなかった。
「ダメだな。」
クソッ、と毒づくレオニードに
「まだまだ先はあるよ。」
ニコライが力強く言った。
次のリボンが見えてくるまで、車はスピードを上げる。
リボンが見えてきたら、減速する。
次の的には、3発中2発当てる事が出来た。
車は加速と減速を繰り返すが、かなりのスピードで進んでいる。
日頃イリヤに『安全運転で犯罪者とカーチェイスが出来るか!!』と叱咤されているニコライの運転とは思えなかった。