舞台裏
□先輩4
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「あいつらなら良いんじゃないか?」
お伺いを立てるように、ロウドフがゼニロフに話しかけた。
ゼニロフはチラリと視線をロウドフに向け
「ああ、まあ、彼等ならこちらに居なくても問題は無いでしょう。」
渋々ながらも許可をくだした。
「だってさ。
良かったな、イリヤ。」
ロウドフがイリヤに笑いかける。
「今年は新規に看守見習いが5人も入ったんだ。
そいつら全員貸し出してやるよ。」
そんなロウドフの言葉に
「5人も貸して貰えんの?
いやー、助かるぜ。」
イリヤはホクホク顔であった。
「あいつら単純だからな。
お前より、ミハエルの命令の方が効くと思う。」
ロウドフの忠告に
「ああ、わかった。
その辺は上手いことやるよ。」
イリヤはニヤリと笑う。
「んじゃ、来週金曜の午後一に、そいつら正面玄関に寄越しといて。」
そう言い残しヒラヒラと手を振って、イリヤは事務室を後にした。
カンシュコフ5人組
この5人は兄弟ではないものの、元々似たり寄ったりの体型で、皆同じブラウンの瞳をしていた。
本人達が面白がって同じド派手な黄色に髪を染めたため、外見がほとんど一緒になっている。
彼等は5人で一括りにされ『カンシュコフ』と呼ばれていた。
未だにイタズラっ子のように懲りない性格の彼等は、内勤の先輩達から割とぞんざいな扱いを受けている。
こうして5人組は『狙撃組及び運転組新規生の実技実習採点補佐』の仕事をする事になったのであった。