舞台裏

□先輩5
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「それにしてもお前、レオニードの事も覚えて無かったんだって?
 確かに入賞したこと無いけど、あんだけ派手な奴だし大会会場で目立ってたろ?
 まさか、サーシャ先輩の事も覚えて無い、とか言わないよな?」
ボリスの言葉に慌ててコプチェフが弁解する。
「いや、大会中、あんまり歩き回らなかったし。
 サーシャ先輩の事は、もちろん覚えてるよ。
 まさか、ミリツィアにいるとは思わなくてビックリしたけど。
 ここって案外、大会上位者来てるんだな。」
「ちぇっ、覚えてない、って言ったら先輩にチクろうと思ったのに。」
ボリスが悪戯っぽい笑顔を向ける。
「サーシャ先輩、3年連続上位狙ってたのに、初出場のお前に首位取られて引退決心したんだってさ。
 引退してから何年かインストラクターやってたらしい。
 こないだ射撃場で一緒になった時、教えてくれたんだ。
 あの人、穏やかな感じなのに、狙いとか鋭いんだよな。
 大会で対戦してみたかった。」
少し残念そうにボリスが言う。

コプチェフが話しを続ける。
「サーシャ先輩、ヤン先輩のペア相手なんだよな。
 たまにガレージにヤン先輩を迎えに来るよ。
 ヤン先輩、イリヤ先輩、ミハエル先輩の3人で、ガレージで話し込んでること多いからさ。
 ヤン先輩、サーシャ先輩にデレデレだぜ。」
ニヤニヤしながら言うが、そんなコプチェフはボリスにデレデレである。
「あの人たち、同期で仲良さそうだもんな。」
ボリスがコーヒーを飲みながら話を続けた。

コプチェフが内緒話をするように声を落とし、ボリスに顔を近付けて言う。
「あ、イリヤ先輩とミハエル先輩と言えばさ。
 最初に見た時思ったんだけど、あの2人って、サーカスの熊と、調教師っぽくないか?」
ボリスは飲んでいたコーヒーを吹き出した。
「お前、飲んでる時に変なこと言うなよ。」
ゴホゴホと噎せながら、それでも可笑しそうに笑って抗議する。
「いやー、だってさ。
 ミハエル先輩って、従順な熊みたいじゃん。」
調子にのって、コプチェフが更に続けた。
「悪いって。」
ボリスはそう言いながらも、クスクス笑う。

「お、何だ、お前らも来てたのか。
 内緒話なんかしちゃって、ヤラシイな。」
いきなり、2人の後ろからイリヤが声をかけてきた。
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