短編その2

□溺死するほどの愛を
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あつくて、頭がおかしくなる。
触れられたところが全部、そこから熱くなって侵食されているみたいだった。


「っふ…」

「……天城、痛くない?」

「……少し」


中に、純也くんのが入ってる。ゴムをしていても分かるその大きさと熱と、切れた痛みに滲んだ涙を拭ってくれた。ジクジクとした痛さはキスをされると緩和されて、胸をいじられると気持ちよさに声がこぼれ落ちた。
汗ばんだ肌が気持ち悪い。恥ずかしさよりも痛みが勝るなんて、ちょっと想像してなくて苦しかった。

痛みが消えることはなかったけど純也くんは私のペースに合わせて待っていてくれる。純也くんだって辛そうな顔をしてるのに。行為がこんなにも辛いなんて知らなかった。


「純也、くん」

「……少し動こうか」

「う、ん」


動けば、慣らせば痛みも忘れる。その言葉を信じて頷くと入ってからずっとそのままだった純也くんのがゆっくりと出ていく。


「っん……いた、い」

「もう少し頑張れ。な?」

「うん…」


くしゃりと頭を撫でてくれた。出たり入ったりする感覚と、部屋に響くイヤらしい音に今度は恥ずかしさが勝る。痛みは少しずつ消えていって、入れ替わるように痺れるような重さが全身に走り始めた。


「ぁ……っん、や、なに、」

「気持ちよくなってきたな」

「んんっ、っふ……あ、あっ、」

「天城」

「純也、く……や、あッ!」


意思を無視して勝手に声が出る。自分のとは思えない甘い声を抑えたくても気持ちよさには勝てなくて、ただ翻弄されるだけで何も出来なかった。

足の爪先まで痺れるこの気持ちよさは初めてで頭が真っ白になる。汗ばんだ肌の気持ち悪さも、ジクジクとした痛みも全部かき消された。


「純也くん……!」

「ん……天城の中、締め付けがすごいな」

「やっ…!」

「そんなに俺が欲しかった?」

「ッん、ふぁ…や、ああっ!」

「……答えられないくらい、気持ちいいんだ?」

「ん、ぅ……」


声を食べるように、またキスをされる。気持ちよさに頭が溶けてしまいそうだった。至近距離から見る汗で濡れた純也くんも、かっこよくて見惚れてしまう。

甘いキスに夢中になっていると、ゾクゾクと何かが来るのを感じて身を震わせた。


「ゃ……純也くん、」

「ん?」

「っふあ…あ、ああ…!」

「……ああ、イく?」

「んッ、う…ひぅ、」

「いいよ。俺も出そうだから」

「純也く、恐いっ」

「大丈夫。……恐くないから、ほら」

「ぁ……〜〜っ、や、あッッ…!」

「……ッん、」


一番強い痺れが来たと思ったら、痙攣するほどの気持ちよさが駆け巡った。声も出ないくらい、感じちゃった。そのあとすぐに襲ってきた身体のダルさに力が抜けていく。


「天城?」

「……ん、ふぁ」

「……少し激しすぎたか」

「純也くん、」

「名前呼びすぎ。本当、俺のこと好きだよな」

「……だって、」

「まあ、俺も人のこと言えないけど」

「……?」

「好きだよ、天城」

「ッ〜〜」


本当に、この人心臓に悪すぎてズルいと思うの。緊張感とは全く違う感情で心臓がドキドキする。


「私も」

「うん」

「私も、好き」

「知ってるよ」


私今、すごく幸せだなあ。

なんて、うぬぼれてもしょうがないよね。

すぐそこにある幸せを手放したくなくて、ぎゅっと抱きついた。






(溺れるほどの幸せ)























お待たせいたしました。だいぶ、かなり、途方にも暮れるほど長い時間空いてしまいました。もう忘れてるかな…覚えててくれると、嬉しい。
夢主×雪子という内容にそれなりに苦戦いたしました。雪子の口調が主に迷子です。女の子相手で攻めな夢主は受けとはまた違った雰囲気を醸し出してくれると思います。雪子だと常に胸がキュンキュンしてそうですねえ微笑ましい。受けに比べて、攻めがこれ。本編に比べるとそこまで根暗はひどくない。
改めましてリクエストありがとうございました。お気に召しますように…!
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