短編その2

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後ろ髪を柔く引かれた。せっかく盛り上がってきたところだが窒息で死なれるのは困るので渋々離れると長いと怒られる。


「殺す気か!」

「まさか。そんなわけないよ」

「ったく…」


酸欠だから顔が赤い。呼吸も乱れてる。ぜぇぜぇと肩を大きく上下させながら濡れた口回りを袖で乱暴に拭う姿は、どうしてかそそられるものがある。
それはここが学校だからなのか、単に僕が彼に欲情しているからなのか。両方だと思うけど。


「もういい?」

「…………はいはい」


しょうがないなと諦めたように、でも期待した目が僕の姿を映し両手が首に回る。湿った唇が触れて、固く閉じたそこを舌でなぞると少しのためらいのあと隙間ができて、遠慮なく舌で押し開ける。歯を、舌を、口内をまさぐるとまた息が荒くなってきた。

ちょっと身動きをすると足が机とか椅子に当たって物音を立てる。そんなのお構いなしで、僕は純也にキスをし続けた。口端から溢れた唾液が制服を濡らす。帰ったら洗濯機に入れなきゃなあ。きっと忘れるけど。

誰もいない教室でキスをするというのは、なんだか不思議な気持ちだった。普段は勉強をして、お昼を食べて、学校生活をしているここで卑猥なことをするのはなんだか…興奮してるのかな。体が熱い。


「っは…」


今度は酸欠にならないように、適度に離れてはまたくっつける。空気が混じると厭らしい音が聞こえて恥ずかしさを増した。さすがにがっつきすぎると歯止めが効かなくなるので離れると、もう無理だと首を横に振る。物足りなさにシャツの襟を引っ張って首もとに顔を埋めると動揺したけど、構わず綺麗な肌に噛みついた。


「ちょ、ま、待って、」

「遅い」

「〜〜っ」


これが通り魔だったらとっくに首を切り裂かれて死んでる。そんなの許さないけど。皮膚の向こう側にある骨も一緒に噛むとゴリゴリと堅い感触。容易く噛み跡もつけられて、ついでに鬱血もしておいた。


「っの…変態、」

「お互い様だよ」

「服の中に手、入れんな。ここ学校」

「興奮する?」

「しねえよ!」

「誰か来たら困るからね。僕も君も、髪色派手だし」

「分かってるなら、」

「見たければ勝手に見ろって気持ち」

「俺は嫌だから」

「僕は構わないよ。牽制ってやつ?」

「あのな…」

「純也もつけていいよ? 好きなとこ」

「喉元に噛みついてやろうか」

「ええ…?」


噛みちぎられる気がするからそこは遠慮した。でもしょうがないよ。学校で二人きりなんてあんまりない機会だから。

一歳差。たったそれだけなのに学校では学年が違うだけであまり会うことがない。同じ校舎、一つ階が違うだけなのにどうしてこんなにも会うのを我慢しなきゃいけないんだろう。住んでる寮は同じだけどやっぱり学校でも会いたい。それだけ僕は、彼に夢中で。

腕に噛みつかれたときはこのまま食べ尽くしてやろうかとも思った。暑かったから、ブレザーを脱いでシャツ一枚、腕捲りをしていたのが思わぬ幸運を得た。


「そこ、見えるよ」

「コロマルに噛まれたとでも言えば」

「らしい理由だね」

「赤いのは虫刺され」

「……純也も随分、大胆だね?」

「お互い様なんでしょう?」

「うん、そうだね」

「有里先輩、」


衝動に身を任せてまたキスをする。
堪えるように、理性が切れてしまわないように掴まれた腕からずるずると手が滑り落ちて、腕時計を引っかける。
そういえばしていたな。日常的にしているから、時々存在を忘れてしまう。
それじゃしている意味もないのだけど。

吐息が混じる。外から聞こえてくる怒声とか、気合いを入れる声も聞こえなくなるほど夢中だった。


「っは……」

「……あぁ、どうしよう純也」

「…………。」

「止まんない」

「……知ってる」


襟元を掴まれ引き寄せられる。
乱暴、強引。彼なりの照れ隠しだとは分かっているけどやっぱり興奮する。
愛しさが爆発してしまいそうだ。それこそ、心臓も一緒に。


「有里、先輩」

「……もっとでしょ?」

「ッ……」


ああ、ほら。歯止めが効かなくなっちゃった。
こうなったら止めようがない。どうしようもないよな、と自分勝手な理由をつけて可愛い後輩の唇を奪った。













*あとがき*


たまにはキタロー目線で書いてみる。
今日はキスの日? らしい? ですね?
今日だろうが明日だろうがキタローは欲求のまま純也くんを求めているので関係ない話! 解散!
めっちゃ獣じみています。これ以上書くと邪な所まで致してしまうのでぶっつりしました。
キタローが2年生で夢主が1年生です。同じ校舎、違う学年の2人がコッソリ致すのって興奮するよね〜っていう気持ちで書きました。あと個人的な趣味ですがシャツを腕捲りして着てるのスッゴい好きです。長袖もいいけど、腕捲りすることで見える肌の面積が絶妙すぎます。2人とも武器を扱うのでわりと筋肉あって、骨格がハッキリしてて血管が見えてたりしたら最高だと思います。キタローは腕時計をしているので、なおさら色気づいているような気がします。身長同じようなものだからキスするとき地味に大変そう…だから今回は夢主を机に座らせました。キタローは立ってます。キタローがちょっと下から目線でキスして、夢主は上から見下ろし視線。え、待って興奮する…こういう段差好き。階段でするのも好き。覆って、覆われて。興奮しますね! でも学校の机がどんな高さか覚えてないからそこはなんとなくで想像して! あと手が頭をなぞって髪の毛を通ってく〜なんというか〜まあそんな感じの〜あれ、がっついてる感全開で好きです。性癖をめっちゃ語ってしまいました。

久しぶりの短編ですが、暇潰しになればいいなと思います。あわよくば有里湊×桐条純也のCPにぎゅんぎゅんしていただければ管理人は完全勝利Sでございます。自給自足楽しい〜。

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