赤の似合う君と
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『今日の御剣君、かっこよかった』
成歩堂君と話終わったあと、自室で考え込んだままの彼に声をかけた。
「このような迷いは要らないのだ…このような…」
自分を抱きしめるようにして俯く彼の額に、私のそれを当てる。
「羽影検事…?」
『人は迷った時に道を見るし、決断した時に成長する。私は今日の決断、正しかったと思ってる』
『君の決断のおかげで、救われた人がいる。ね?』
彼の前髪を除けながら額をゆっくり離す。
困ったような、悲しそうな。辛い表情の眼が合う。
「…貴女は……優しいのだな」
ゆっくり逸らされた視線に、その迷いの大きさを知る。
『君の速さでいいよ。君が求める限り、必ず道標はできるし、私も君の道標になりたいから』
包むように、優しく、軽く。ふわり、という音が似合いそうなハグをした。
怖ず怖ずと伸ばされた腕が。
ひどく、ひどく優しかった。
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