赤の似合う君と

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今更になってそんな事を言われるなんて。


どうやったら予想できただろう。















『何…これ』


後半月で、彼が帰ってくる。
そんな矢先だ。


『なんで今更…』


引っ越しの準備も整って、後は運ぶだけ。
そして、彼が帰ってくるまでに新居を片付ければよかった。


『もう、終わったことなのに…』


そんな時だ。
私の部屋に届いた一通の手紙。








やっと見つけた

17年の恨み

お前とて生かしておくものか












17年前。
計画的無差別大量殺人。
私の父が犯人として逮捕された事件があった。
迫害によるノイローゼで母と弟は自害、その知らせを聞いた父は獄中で狂死。
重要参考人を失ったこの事件は幕を閉じた。
無論、父が犯人とは思っていない。
でも、資料は申し送りされてしまっているし、何より時効が来ている。
調べる術も理由もなくなってしまった。

だというのに。

この手紙に思い当たる節はそれしかない。
被害者の家族だろうか……。


そんなことを考えながら、頭を過ぎったこと。
今日の午後には引っ越し屋が来て、この部屋にはもう戻らない。
相手を撒くことはできるだろうか、突き止められたら彼にも…怜侍にも被害が及ぶだろうか…。






そう思っても、後には引けないから。とりあえず引っ越しをすませ、できる限りの荷解きと片付けを終えた。
そして、さっきの手紙を持って警察署へと向かう。



「お!珍しいッスね、羽影検事が来るなんて」

『主席検事になってからは自分の足では中々こないからね…今回は相談だ』

「一層珍しいッス」

『これ…筆跡鑑定と指紋採取…あとなんらかの手がかりがあれば調べてもらいたい』


あの手紙。
前科者や参考人になった人物のものとは思えないけれど、何か残っていればいい。
そう思って糸鋸刑事に渡す。


「…公式な捜査じゃないッスから…どこまでできるかは…」

『ええ。百も承知よ』


何も見つからなくて当然の代物。
それでも………………











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