赤の似合う君と
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〜開廷〜
「異議あり!!」
「確かにこの段階では判決を下せません」
「クッ…」
予想通り、成歩堂は裁判を切り抜けて明日へ持ち越した。
「私が、シロウトごときに……」
『仕方ないよ、悪はまかり通らないようにできてるんだから。真実があれば虚は破られる』
「…それでも私はっ」
『裁判は勝ち負けじゃないんだよ?裁きの場所だ。罪を犯した人間を裁き、罪のない人間を救うところ』
わなわなと震える御剣君の肩を軽く叩く。
彼なりの想いもあるのだろう。しかし、裁判とはそういうものだ。
『いつか解る。解らなくても君なりの答は出る。もし間違えそうになっていたら…私が必ず止めるから』
だから思いつめない方がいいよ。と告げて検事室を出る。私もこのあと裁判があるから、それが終わったら神乃木さんのところに報告に行こう。聞こえやしないだろうけど。
「羽影検事…、しかしこのままでは私は…貴女に追い付けないのだ…」
御剣の小さな呟きは届かなかった。