赤の似合う君と
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「失礼する」
羽影検事の検事室。飾り気のないシンプルな部屋。
『あ、御剣君。裁判お疲れ様。お茶飲んでく?』
「頂こう」
ここで紅茶を飲むことは珍しくない。新米の頃は勉強が主だったが、最近は只単にお茶をしに来ている。
彼女の部屋に、いつの間にか私の好きな銘柄の紅茶があることとか、客用のカップ以外に私用のカップが用意されてる事とかが。私の期待を煽る。
『お砂糖は使わないんだよね?』
「ああ。羽影検事はミルクだけだったか」
『そうそう』
私も彼女の好きな銘柄を覚えているし、部屋にはその茶葉が常備されてる。
これが恋というものか。
心の中で微苦笑を浮かべていると。
『御剣君、考え事?相談にのろうか?』
彼女は優しい。そうやってすぐに気付くのだ。自分の方がよっぽど何かを抱えているだろうに。
「いや、私は大したことない。羽影検事、貴女の方が最近悩みでもあるのではないか?」
『…御剣君には隠し事できないねぇ…』
眉をさげて困ったように微笑む彼女。胸が締め付けられるようだ。
「私でよければ、その、聴こう。力になれるかもしれない」
『…』
「いや、無理に話すことはない」
『…聴いてくれる……?』
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