赤の似合う君と
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彼女が話し出したこと。
憧れていた人がいる事。
すでにその男には恋人がいる事。
その恋人が綾里千尋であること。
しかしその男は事情があって眠り続けている事。
さらに綾里千尋は男の目覚めを待たずに亡くなってしまった事…。
『あの人は私を待っててくれなかったけど…私は待ってたい…っ、でも、神乃木さんは私なんか望んでない……』
彼女には敵わない…
泣きそうな顔をして、ポットのお湯を見つめる羽影検事。かける言葉も見当たらない。
『ごめんね…私の問題なのに…』
「いやっ、貴女の力になれるなら…その」
『ありがとう…、』
依然として困ったように微笑む彼女を見ていたら、もう、無意識だった。
『!み、御剣君!?』
「羽影検事」
立ち上がり、彼女を抱きしめる。
「迷惑かもしれない、しかし、力になりたい…私は…貴女が……」
言葉につまる。彼女の意中はその"カミノギ"なのだ。
困らせるだけ、けれど。
「好きなのだ…そんな顔をしないで欲しい」
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