赤の似合う君と

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『流石、紳士』


なんておどけながら、助手席に乗った彼女。
自分も運転席に乗りこみ、地図でざっと場所を確認する。


『近くにある?』

「近い、とは言えないが…1時間程で着くだろう」

『じゃあ、ドライブも出来ちゃうね』


と、笑みを浮かべた。


「…」

『…』


車を走らせて20分。
会話がない…。CDは積んでいないし、ラジオというのもおかしな気がする。
決して嫌な沈黙ではないのだが…


「申し訳ない、その、会話が苦手なのだ…」

『てっきり運転中は喋らない質なのかと思ったよ』


軽く笑う彼女を少し見遣る。


「何か、その、話すことがあれば…」

『、クスクス…御剣君って面白いね』

「羽影検事!///」

『あ、じゃあその件について話そう』

「?その件?」


ウインカーを切りながら問えば、"うん"と返ってきた。


『二人の時とか、プライベートの時は"検事"ってつけないでよ』

「…羽影……殿」

『殿、はいらないって。もっと、打ち解けてほしいんだけどな…』

「ム…」


苗字の呼び捨ては如何なものか…。かといって名前では呼べない…。


『私が御剣君って呼んでるからかなぁ…』
 
 
 
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