赤の似合う君と
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『ふふっ、うろたえすぎ。本気にしないでよ』
ぎゅうっと抱きしめると、紅くなって何やらもごもご言っている。
看守は見ないふりを決め込んでくれているようだ。
『ファーストキスが留置所なんて、私嫌だもん』
耳に口を近づけて呟けば、体を固くした。
『あんまり待たせないでよ?』
そう付け加えて身を引こうとした。そしたら、腕を強く捕まれた。
「弁護は成歩堂に頼もうと思う」
『賢明だね。彼には力を貸すよ』
「……助かる」
用件は終わらないようで、腕が離されない。
『怜侍…?』
「クリスマスは駄目だったが、正月は一緒に過ごそう」
『…そうだね。初詣も、一緒に行こうか』
にっこり。朗らかに笑い、看守にお礼を言って立ち去る。調べなきゃいけないことは山積みだ。
私と入れ代わりで来た成歩堂君に弁護は依頼したみたい。
明日の裁判、どうなるか……
12月26日
法廷が始まり、傍聴席から裁判を眺める。
唇には紅い口紅、大事な時はこれをつける。この口紅の勝利のジンクスは未だ崩されていない。
序盤から、狩魔検事の責めは激しかった。
真宵ちゃんが動いてくれなければ、どうなっていただろう。
「成歩堂、彼女に伝えてくれ…」
成(素直じゃないなぁ)
真宵ちゃんが、怜侍を救ってくれた。
彼女の釈放手続きは私から口添えをして、保釈金は怜侍が払うことになった。
『御剣君、真宵ちゃん釈放されたよ』
「…そうか」
『今、成歩堂君と調査に行ってくれてる。私に出来ることは、糸鋸刑事を通していろいろな権利を与えるくらい』
「あいつなら、それで十分だろうな」
『明日もハラハラする裁判になりそうだけどね』
意地悪く笑ってみせると、む、と眉間を寄せた。
『私もいろいろ立ち回ってくるから、君も最後まで戦うんだよー』
ヒラヒラと手を振って立ち去る。資料室の鍵をキープしなきゃだし、アイツらの行動も把握しないと。
あと二日。
眠らせてなるものか。
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