赤の似合う君と

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私のいう彼の力になりたいとは…

こういうことではなかったのに…


ゴドー検事と成歩堂君の裁判を見て、予想は確信へと変わる。

彼が憎むもの。

犯人である千奈美と、千尋さんを守れなかった成歩堂君…

そして私。

自惚れかもしれない、でも、そこだけは宛てにされていたのではと思う。


(そうでなければ、あんなこと…)


そうでなければ、私に、初めましてだなんて…そんな、そんな悲しい挨拶はない。

千尋さんを救えず、待ってさえいなかった私に憎しみを抱くのも不思議ではない。
それでも、検事局にいる為には私のところへ来るしかなかった。
そんなところだろう。

解っていたって、悲しい。

でもきっと。

一番辛いのは、彼自身だから。


(最も憎んでいるのは、眠り続けた自分自身…)


悔しい。

結局、私は彼を救うことは出来ない。

…私では届かない。

それでも。

私は彼に手を差し出さずにはいられないのだ。




何度目かの逆接を繰り返し、彼らの裁判を見届けに向かう。




いつか、彼は。


ゴドー検事の正体も解き明かしてしまうのだろう。


仮面☆マスクの正体を暴くように。






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