赤の似合う君と

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「私が強くいられるのも…貴女のおかげだ」


しばらく沈黙があった。
お互いがお互いの事を考えていると、音のない時間が流れる。












「そういえば…最近病院へは行けているのか?」


先に沈黙を破ったのは彼だった。


『え?』

「彼…の見舞いにほとんど毎日行っていたろう?」

『あ、…うん。…あの人……目を覚ましたの……』

「…なぜだ?あまり、嬉しそうじゃないな」

『……私が入院している時に目を覚まして…退院しちゃってた』

「な…」


自分でも驚く程暗い声だった。
声を詰まらせる怜侍からも、気まずさが伝わって来る。


『わ…たし、待ってたのに…おはようって…言えなかったよ…っ』


涙が、零れてきた。
泣かないようにしてたのに。
私より辛い人が誰かなんて解ってるのに。


「目が覚めて、よかったではないか。…退院できたということは、元気、なのだろう?」

『そうだけど…そうじゃな…い、神之木さん…私のことっ…』


言えなかった。
やっぱり、言ってはいけない。

もし怜侍が聞いたら、日本に帰ってきてしまうかもしれない。自意識過剰でも…私の蒔いた種で彼の決心を塞ぐ訳にはいかない。







「何があったのだ…?」

『…言えないっ…言えないけど、私、馬鹿みたい…なんの為に、なんの為に6年も…っ…』

「雨月…」

『れい…じ、あの人信じてくれるかな?待ってたんだって…信じてくれるかな…っ?』








自分でも何を言っているか解らなかった。


ただ、どうしようもない過ちをどうしたら償えるか解らなくて。


これから起こりうる悲劇を食い止める術も思いつかなくて。


ひたすら泣いた。






「貴女のその強い想いは…きっと伝わるだろう……この私が妬く程のものだからな」

『…っ』

「こんな時にこそ、隣にいて抱きしめられたらどんなにいいか…」

『ありがとう、その気持ちだけで嬉しいよ。ごめんね…ごめんね…っ』

「謝らないで頂きたい、貴女は何も悪くなどないのだから……」







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