赤の似合う君と

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法廷2日目。



あやめさんが検察側の証人になった事を成歩堂に伝えにいった。


『…うらやましいな』

「何が、だ?」

『成歩堂君を"相棒"って呼べることが、かな』

「……」

『さあ、始まるよ』


私を傍聴席へ追い立てる一方、彼女は扉から中へは入ってこない。


『私は外で裁判を聞いている』


そして、そういうと背を向けてしまった。


「見届けなくていいのか?」

『…………もう、解ってるんだ』

「…!」

『君は見届けるといいよ。霊媒の世界を、真相を、始まりと終わりを…』










裁判の流れは、信じられない方へ傾いていった。

死んだはずの千奈美の姿に、霊媒を信じることが余儀なくされ、真宵君は証人として召喚された。

真宵君の身を削るような証言が続く中、明らかになったゴドー検事の正体。

(彼が、神ノ木荘龍…!)

彼女が憧れ、待ち続けた人物。
しかし、その人の経歴に一度たりとも彼女は現れなかった。








…成歩堂はすべてを立証した。

そして、血の涙と共に結末を迎えた法廷に、私は唯一異議を抱いていた。















「お祝いだな」

「直ぐにいくから、先に行っててくれ」


少女を探しにいった成歩堂と真宵君を抜いてレストランへ向かいだす糸鋸刑事達に、声をかける。


「私も後から行こう、探し人がいる」

「…主席検事ね」

「ああ、あの人もどこへ行ったものか…」


法廷を出ると、そこに姿はなく、主席検事執務室にもいなかった彼女。
おおよそ見当はついている。案の定、留置所の前で佇んでいた。


「雨月!」

『!御剣、くん…』


真っ青な顔をこちらに向けると、力なく微笑んだ。


『ここまでダメージ受けるのは、予想してなかったや…』


ドアノブにかけた手はそれを捻ることができずに震えている。


「私も行こう、言いたいことがある」


その手に自分の掌を重ねて面会室へ入った。

















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