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『君って変わり者だよね、私なんか食事に誘ってさ。何の目的?』

「俺は、雨月さんと仲良くなりたくて」

『弁護士って大変だね、そこまでして情報得なくちゃいけないの』

「なっ!そんな意味じゃないですよ!純粋に人として…」

『はは、余計に変わってる』


割り箸を綺麗に割って、買った牛丼を口に運びながら彼女は笑う。
俺は、彼女が笑ったところを初めて見た。


『私はこんな女だよ。男の子に食事に誘われて牛丼のチェーン店に連れていくような』


これでもう興味もないでしょう、とでもいいたげな笑み。


「…ちょっとびっくりしましたけど、もっと貴女のこと知りたくなりました」


それに、俺も負けないように笑って返せば。彼女は少し目を見開いて、さっきより柔らかく笑った。


『たとえば?』

「…デートしませんか。って行ったらどこに行きたがるのか、とか」

『んー、そうね……』


牙琉検事のコンサートを断る彼女の興味がどこに向かうのか、そんな好奇心もあってそんな質問をした。
彼女が考え始めてから、まるで誘っている見たいだと思う。


『…化石館』

「好きなんですか…恐竜とか」

『うん、好きかな。アンモナイト可愛いじゃない』

「ティラノサウルスとか…?」

『レックスを全身骨格で見ると感動ものでしょ?』


からかうように、楽しそうに、彼女は笑う。
少年みたいだ、とふと思った。


「今度、一緒に行きませんか。俺も見たくなりました」

『私の非番に合わせられるの?私、これでも忙しいんだけど』

「俺は暇な弁護士ですから。大丈夫です!」

『ははっ、本当に変わってる』


彼女は食べるのが早い。
空になった容器を袋にしまいながら頬杖をついた。


『…これから時間ある?私が、仲良くして理解できる女なのか解らせてあげる』


誘われている、となんとなく解ったけれど。
その笑みにどうしてか悲しみが見えて、コクリと頷いて残りの牛丼を掻き込んだ。






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