TWINKLE
□05
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「…日も落ちましたね」
『だねー。東方最大離角なら金星も観測したかったんだけどな』
「最大離角?」
『……金星が一番明るく見える時のこと』
暇があったら勉強しなさい。と、彼女は俺のおでこを小突いた。
『まさかとは思うけど、今日は何の流星群かくらいは知ってるよね?』
「……」
『…、まさか』
「…すみません」
『はぁ………、みずがめ座流星群とやぎ座流星群が同時に出るんだよ?エコー観測では8月のペルセウス座流星群を凌ぐと言われる量が流れるの』
呆れた、とでもいいたげな表情で彼女は解説してくれる。
『…因みに、何時から観測できるかは?』
「…」
『21時以降。ねぇ、観測する気があってきたの?』
けど、だんだん不機嫌な雰囲気を醸しだし始めた。
確かに俺は、雨月さんとデートできると思って浮かれてたから。流星群そのものはあまり調べて来なかった。
それに、
「俺は、雨月さんに教えて貰いたかったんです。ダメですか?」
そう告げれば彼女は目を丸くして、やれやれ、と、肩を竦めた。
『ホースケは、まったく……あざといというか……まあ、そこがかわいいんだけど』
「あざとい……」
『そこまでいうなら仕方ないね、第84代地学部部長の私がみっちりしごいてあげるよ』
「えっ…!」
『ああ、実際は天文部に改名しちゃったから、第27代天文部部長だったけど』
「そこじゃないですよ!」
『あはは、解ってるって』
でも、容赦しないから。
悪戯っぽく笑いながらそういった彼女。実際、本当に容赦なかった。
流星群が見えはじめる21時まで2時間以上あったのだけど、彼女は次から次へと俺の質問に答えては悪戯に問題を出した。
あの星は何ですか?
あれはデネブ、こっちがベガで、そっちがアルタイル
彦星ってどれですか?
アルタイルだよ、織り姫は解る?
えっと…ベガ、ですか
そうそう、よくできたね
エヘヘ…
デネブ、アルタイル、ベガで夏の大三角。デネブは何座?
ええ!えっと……
はくちょう座。デネブは尻尾って意味なんだよ
へぇぇ。あ、あっちの明るいのは何ですか?
ああ、あれは……
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