TWINKLE

□05
2ページ/3ページ



「…日も落ちましたね」

『だねー。東方最大離角なら金星も観測したかったんだけどな』

「最大離角?」

『……金星が一番明るく見える時のこと』


暇があったら勉強しなさい。と、彼女は俺のおでこを小突いた。


『まさかとは思うけど、今日は何の流星群かくらいは知ってるよね?』

「……」

『…、まさか』

「…すみません」

『はぁ………、みずがめ座流星群とやぎ座流星群が同時に出るんだよ?エコー観測では8月のペルセウス座流星群を凌ぐと言われる量が流れるの』


呆れた、とでもいいたげな表情で彼女は解説してくれる。


『…因みに、何時から観測できるかは?』

「…」

『21時以降。ねぇ、観測する気があってきたの?』


けど、だんだん不機嫌な雰囲気を醸しだし始めた。
確かに俺は、雨月さんとデートできると思って浮かれてたから。流星群そのものはあまり調べて来なかった。
それに、


「俺は、雨月さんに教えて貰いたかったんです。ダメですか?」


そう告げれば彼女は目を丸くして、やれやれ、と、肩を竦めた。


『ホースケは、まったく……あざといというか……まあ、そこがかわいいんだけど』

「あざとい……」

『そこまでいうなら仕方ないね、第84代地学部部長の私がみっちりしごいてあげるよ』

「えっ…!」

『ああ、実際は天文部に改名しちゃったから、第27代天文部部長だったけど』

「そこじゃないですよ!」

『あはは、解ってるって』


でも、容赦しないから。

悪戯っぽく笑いながらそういった彼女。実際、本当に容赦なかった。
流星群が見えはじめる21時まで2時間以上あったのだけど、彼女は次から次へと俺の質問に答えては悪戯に問題を出した。






あの星は何ですか?

あれはデネブ、こっちがベガで、そっちがアルタイル

彦星ってどれですか?

アルタイルだよ、織り姫は解る?

えっと…ベガ、ですか

そうそう、よくできたね

エヘヘ…

デネブ、アルタイル、ベガで夏の大三角。デネブは何座?

ええ!えっと……

はくちょう座。デネブは尻尾って意味なんだよ

へぇぇ。あ、あっちの明るいのは何ですか?

ああ、あれは……







次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ