※カカイル短編※ 

□俺だけの貴方だから
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その後 彼は食事も取らずに布団に潜り込み

「…先生は、まだ寝ないの?」

と、少し眠たそうにしながら静かに聞いてきた。

「はい。まだ書き物が残っていて…。」
「…そ…。」
「…カカシさん…。カカシさんが眠りにつくまで傍に居ますよ?」
「…うん。来て。」

彼の横に普段着のまま横たわり
彼の頭を優しく抱き込んだ。

「カカシさん。お疲れ様です。ゆっくり寝てくださいね。」
「うん…。せんせ…大好き…。」

胸元に有る銀髪に、そっと口づけをする。
見た目よりも柔らかな彼の髪。
指で静かに梳いてやると、甘えた子供のように胸に顔を押し付けてくる。
そして彼の手は、何かに縋るように俺の服を握りしめている。

此処に居る「はたけカカシ」は
今この時、里の英雄でも誉れでもなく
俺だけの「はたけカカシ」なのだ。

そう思っても いいんですよね?カカシさん。

「カカシさん?」

安心しきったのか、早くも寝息をたてている。

静かに体を離し
彼の、俺だけに見せる無防備な寝顔を見る。

思わず微笑んでしまいそうな、幼く見える寝顔を魅入る。

白く肌理の細かい綺麗な肌。スッと通った鼻筋。

銀色の眉に、銀色の長い睫毛。

形の良い薄い唇。
左瞼の傷…。

俺の服を握りしめている両の手を、そうっと外してベッドから立ち上がり
彼に肩まで布団をかけ、もう1度寝顔を覗き見る。

『ご苦労様でした。…キツイ任務だったのかな…。』


貴方から告白され始まった。この恋。

貴方は俺を愛してくれて、大切にしてくれるけど

今では俺も同じくらい…いや、それ以上に貴方の事を…

愛しくて愛しくて
胸が張り裂けそうな程に思っているのですよ?


だから

神様。 戦忍である彼が、俺の前から消える事など有りませんように。
なるべく長い月日を彼と過ごせますように。
そう願わずにいられない。
いつの間にか こんなにも貴方を愛してしまった俺だから。

俺だけの貴方だから。




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