※カカイル短編※
□魔性の中忍
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「え?魔性の中忍!?なんですかそれっ!聞いた事ないですよ?」
翌日 カカシは班の子ども達をサッサと帰し、1人で報告書を出しに来ていた。
勿論お目当てのイルカの所へ、だ。
「でしょう?しかしどうやら上忍達の間で人気が有る女らしいです。」
「魔性って…そんな雰囲気の方なら数名居るかも…。」
「え…?…イルカ先生、結構チェック入れてるんですね…。」
教師であるイルカの事を、カカシも「先生」と呼んでいた。
「いえいえ、知ってる範囲で…ですよ?」
「ふうん。…そこんところ、ちょっと聞きたいですねぇ。どうですか、先生仕事終わったら飲みに行きませんか?」
冷静を装って誘ってはいるが、そのじつ 顔が赤くなるのを“気”で なんとか止め、心臓は、かなり高鳴っていた。
『さり気なく誘えたよね!?』
そう、初めてのお誘いだったのだ。
「え?カカシさんとですか!?」
「は‥はいっ。駄目?」
「駄目だなんて!嬉しいですっ!」
「/// !! ///」
その嬉しそうな笑顔の可愛いこと!!
カカシの心拍数が、一気に跳ね上がった。
『ダメ!!俺、先生の事 気になるどころか“好き”になってるみたい。』
どうやら自分は、恋をしてしまったらしいと、カカシは悟った。
しかも初めての恋。
「!?カカシさん、大丈夫ですか?なんか顔が赤いし、呼吸も‥」
「だ、大丈夫です。ちょっと考え事してたら‥。」
「…魔性の中忍を想像してたんじゃないですか?」
イルカが悪戯っぽくニヤッと笑って問いかけた。
「カカシさんなら、向こうの方から声かけて来ますよ。」
「あ、俺 そういう女は好きじゃないです。どちらかと言うと、誠実そうなタイプが…。」
そう言いながら、ジッとイルカの目を見つめた。
しかし鈍感なイルカに 気持ちが伝わる訳もなく
「でも、その方を見たらカカシさんでも落ちるのでは!?だって、魔性ですよ、魔性。」
どこかの誰かが言った台詞に似てるな‥と言うのは考えないようにして
「いーえっ!!俺は魔性なんて言われるような奴には落ちませんっ!!自信が有ります!!そんな奴には目もくれません!」
と、鼻息も荒くイルカに宣言した。
「……………。」
今イルカの横に座っている中忍は困惑していた。
実は彼は上忍達に人気の“魔性の中忍”が、誰だか知っている。
知らないのは、そう陰で囁かれている本人だけかもしれないが。
一見 平凡そうだが、癒される その声、その笑顔。
時には怪我を負った者に、階級などお構い無しに「今すぐ医務室に行ってくださいっ!」と叱咤する。
そんな「彼」に、心惹かれる上忍の多いことと言ったら!!
「でも、俺も見てみたいな〜。綺麗な人なんでしょうねぇ。」
お前だ、お前。
綺麗でも、なんでもない“うみのイルカ”お前だよー!!
「ちょっと。」
「 ! 」
心の中でイルカに突っ込みを入れていたら、突然カカシに声をかけられた。
「は、はいっ!?」
「あんた さっきからイルカ先生の事チラチラ見てるけど、なんなのよ。気でもあるの?」
「「 へ? 」」
その中忍とイルカの声がハモった。
「ちちち違いますよっ!」
「わははっ!カカシさん変な事言うなぁ!?て、すまん。他に人が居ないからって、お喋りが過ぎたからだろ?」
と、イルカが隣の男に言えば
「人が居ないから話も出来るってもんでしょ?混みあっていたらしませんよ。」
と、カカシが男をジロリと睨んだ。
「カカシさん、話は また後で酒飲みながら、ゆっくりしましょう。ね?」
と、小首を傾げて見つめて来るイルカに、またもやカカシは興奮を押さえ切れそうもなく鼻息を荒くした。
「はいぃっ!そうしましょう!ふ、2人で ゆっくりと!」
「ですね!楽しみにしています。」