※カカイル短編2※

□中忍忘年会 後編
2ページ/4ページ



出番まで あと数組の教員チームは、支度も有るので控えていたが

「まだ着替えまで余裕は有る!花魁見終わってからでも充分間に合うだろう。」

よし!行こう!と立ち上がった。と、その時

「駄目ですよ〜。座ってお待ち下さい。」

部屋の角で、ずーっと座っていた進行係の男が教員チームを止めた。

「え?でも俺達くらいですよ残ってんの…」
「聖職者なんだから我慢してください。」

進行係がビシッと言うと皆「ウッ」と口を閉じたが、イルカだけはキリッとして言い返した

「聖職者とは神に仕える方達の事です。我々は只の教職員。」
「…あんた…」

あんたって人は もう!

中忍試験の前もそう!

なんで物申すかなぁ…

「もちろん道を外れた事は いけませんが。余興見るくらいならいいでしょう?」
「そうだ そうだ!」
「う…。じゃ‥じゃあ貴方だけでも残りなさい!」

進行係はイルカを指差し そう言った

「へ?俺?」
「そ…それじゃないと えっと…がっ学校に子を預けている親として許せません!」
「え!?貴方 保護者の方でしたか!!」

見るからに若いこの男にアカデミー通いの子供が居たとは…

「わかりました。そうまで言われるなら俺は残りましょう。」


イルカはキリリとした顔で言った

「イルカ!恩に着る!!」

感極まってイルカに抱きつこうとした同僚だったが
すんでのところで進行係に阻まれ

「この人に感謝して、サッサと見に行け!!」

と、喝を入れられ急いで隣の集会室へと行ってしまった。

「…すみませんねぇ、イルカ先生。貴方も見たかったでしょうが…。」
「(あれ?俺の事知ってる?)いえ、大丈夫です。後日撮影班からテープ借りて見ますからvうふふ」
「何ですって!?」
「まあまあ…テープ見るくらい許して下さいよ。教員だって只の男ですよ。」

お堅い事は言いっこ無しです!ははは!!
気持ち良いくらいの高笑いをしながら、定位置の席に戻ったイルカは
フンフンと鼻歌を歌いつつ衣装が入っている袋を覗いていた。

『ビデオくらいなら許すけど…鼻の下伸ばして見てたら許さないからね先生。』

進行係カカシは、眼光鋭くイルカを見つめた。



***



「よし!みんな、着替えるぞ!!」

教員チームの出番が迫り、いよいよ衣装に着替える時が来た

「イルカ まさか…下着は履いて来たろうな?時間を無駄にされても… 」
「大丈夫!!さっき便所で履いてきた。」

ピクンと進行係の片眉が跳ね上がる

何だかんだと着替えていると、仲間の一人が ふと気が付いた


「お…おい、あの係の男…。なんか‥殺気放ってねえか?」

ゴクリと喉を鳴らし怯え始めると、自然と五人が輪になり固まって衣装を身につけ始めた。


『ちょっと!茶髪の大男と金髪ロン毛!イルカ先生が陰になって見えないじゃない!』

しかも何かに怯えるように何処かしらビクビクしながらノロノロと着替えている


「なあ…あの係員、教師に恨みでもあんのかな…。」
「すごい目で こっちを見てるぜ?」

皆の言葉に、ヒョイとイルカも顔を上げて係員の方を見る

「?下向いて本読んでるぜ?」
「え?あれ…?さっきまで…」

まあいいか、と着替えを進める

進行係カカシは、本から目線を彼らに戻した

「 ! ! ! 」

そこには見たくもないヘソが出るような衣装を着た野郎共が…

「おいおい、俺の頭って これで良い?」

『 ああああああっ!!イルカ先生ぃぃぃ!!』

むさ苦しい野郎共の間から現れたのは、天使のようなイルカが…

『 なんなのォォォ!?その可愛すぎるツインテール!』

「あっはっはっ!イルカじゃないみたいだな。でもセンターの あずきちゃんはツインテールだしなぁ。」
「でもやっぱイルカじゃ気持ちわりいなぁ!」

『はい。茶髪の大男、下半身千鳥流しの刑。』


「でもやっぱ イルカの脚って綺麗だよなぁ。俺 イルカならイケそう。」

『 !!はい。金髪ロン毛、殺す。』


カカシは我慢に我慢を重ねていた。

いつものカカシならば とうの昔に飛び出して行き
あられもない格好のイルカを人目に付かぬよう攫(さら)って行ったはずだから。

『我慢だ、俺っ。イルカ先生の為だ。』

あんな可愛いおへそを出して
あんな綺麗な脚出して
しかも髪まで可愛く二つに結んで

本当は本当は 誰にも見せたくないのに

イルカは楽しそうに笑っている。仲間と馬鹿な事言い合って

『…あんな…楽しそうな可愛い顔…。』

ハッハッハッ!と笑い合い、ちょこんっとヘソを突っつかれては ふざけ合い

『 ぬ 。 … 触れるなど言語道断。』

ギュッと拳を握り締め我慢をする


そうなのだ。 イルカの可愛い顔を見れるのも
彼が気の合う仲間と居るからこそ

仲間が居るからこそなのだ


「…教員チームの皆さん。そろそろ舞台の袖に行ってください。」

進行係カカシは、本当に係としての仕事もしていた

「よーし!!頑張るぞー!!」
「「 おーーっ!! 」」

イルカ達、教員チームが、進行係カカシの前を通り過ぎていく

「あ、あの。貴方もお疲れ様でした。」
「 え 」

 
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ