*過去拍手文*

□運命の人
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不思議と俺もムカつきもせず

かえって 彼の隣に座っている中忍くんの方が青い顔して彼に何やら言っていた。

「はたけ上忍ここっ、ここが抜けています。記入漏れです。」

青い顔の男は更に顔から血の気を退かせ、泣き出しそうな顔で俺と目の前の受付くんを交互に見る。

「記入漏れ…ですか。」
「はい。こことここ。ペンはこれを御使いくださって…」

受付くんは驚いた顔で俺を見上げた。

いや、ちょっと俺も驚いたけどね。
だって俺はペンを差し出した彼の右手をしっかと両手で握りしめていたんだから。

「あの…?」
「……受付くん、名前は?」
「うみのイルカです。」

うみのイルカ

『俺、この人と…』


不思議と“俺の傍に居なくてはならない人”と言う感じと
頭の中には二人で笑いながら家で寛いでいる光景が浮かんだ。

て、ちょっと待て俺。
目の前に居るのは普通に中忍な男の受付くんではないか。
…愛くるしい顔はしているけれど。

俺は何事も無かったかのようにパッと手を離し
「今後気をつけます。」と謝った。

そうして書き忘れた所を埋め、スッと再びイルカという男に差し出す。

『後輩の話が頭にこびり付いちゃってんだよね、きっと。』


目の前で報告書に不備はないか確認している彼を見ながら自分に言いきかせる。

「はい。よろしいです。」

にっこりと笑った彼の笑顔にドキリと胸が高鳴る

「御苦労様でした。カカシさん。」

労いの声に、くらくらしそうな程の安らぎを感じる。


「おいカカシ、邪魔だ。出ろって。」
「…アスマ。」

アスマに引っ張られて廊下に連れ出される。

「珍しく受付に来たかと思えばボケーッとしやがって。今時間は混むんだよっ。」
「アスマ?直感とか予感とか…“この人だっ”て思ったことある?」
「 あ? 」

俺は今一度 受付の奥を見つめる。

「 運命…って、有るのかな。 」
「 〜〜〜めんどくせぇ奴だな。ほら行くぞ。」

アスマは面倒くさがって話も聞いてくれなかったけど

もしかしたら もしかするかも? なんて

俺は いつまでも振り返りながら
遠ざかる受付を見ていた。






 
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