≡ 連載もの・2 ≡

□たかが中忍されどイルカD
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紅は、溜め息を吐きながら 座敷へ戻る廊下を歩いていた。
隣には寄り添うようにカカシが…

「ちょっと。いい加減カカシの姿は、やめてよ。ったく、驚かすなんて‥もう。」

紅が口を尖らせ横に居る“カカシ”に言うと

「ああ、忘れてた。」

ハハハ‥と、笑い声と共に煙を上げ
そこにアスマが姿を見せたのだった。

「カカシの姿で抱き締めてくるのも頂けないわね。勘弁してよっ。」
「まあ そう怒るな。里に帰りゃあ、お前は居ないしよ。聞けばカカシと此処に来てるって言うし。」
「え。誰が言ったの!?イルカ?」

ピタッと立ち止まり、アスマに問いただした。

「いや、ゲンマ。 あ、アイツも此処に来たいって言ってたから誘ったぞ。後から来ると思うぜ。」

見る見るうちに紅の顔が落胆していくのが分かった。

「ちょっとぉ〜、今日は ただの飲み会じゃないのよ〜?人数増やさないでよぉ。」
「俺とカカシで割り勘すりゃいいだろ?ほらっ行った行った。」

「もう〜」と、ぶつくさ言う紅の背を押し 座敷へと戻ると
アスマの姿に本物のカカシが目を丸くして見上げた。

「よっ。ただいま。」
「アス‥マ。なんで?」
「ごめんねカカシ。此処に来てる事、アスマが聞いたらしくて…。」


カカシは唖然としていたが 「そう…。」と諦めたようだった。

「ついでに言うと、あとでゲンマも来るみたい。」

ゲンマ

カカシの頭に、宴会での光景が浮かぶ。

ふざけていたのか、本気なのか イルカの頬にキスをしていた。
それに一緒にトイレにも行っていた。

「…紅、悪いけど日を改めて貰うよ。俺は帰る。」
「ちょっと待ってよ、カカシ。イルカも もう少しで来ることだし…。」

なんか訳有りか?と、言いながらカカシの向かいにアスマが腰を下ろしたところで

「お待たせしました。遅れて申し訳有りません。」

と、イルカが仲居に案内されやってきた。

「よお!イルカ!!」
「!アスマさん!?お帰りなさい!!」
「おう!こっち来て座れ!!」

ちょっと!と紅が二人の間に立ち

「イルカは こっち!!ほらっ!カカシも腰上げてないで座る!」

イルカの腕を取り、カカシの横に座らせ、鼻息も荒く自分はアスマの横に座り

「貴方は黙って飲んでいればいいのよっ。」

と、小声で窘めた。


一方 カカシの横に座らせられたイルカは
久々にカカシを目の前にして、顔が赤くなってはいまいかとドキドキしつつ
先ほど見た光景も頭にチラついていた。

カカシは その腕で紅を抱き締めていたのだ。

本当はカカシの横には紅が座るべきなのかもしれないのに…

『と、余計な事は考えて居られないぞ。』

チラッとカカシを見ると目が合った。
何故かカカシがビクッとした気がする。

先ずは とにかく。謝らなければ。
イルカはカカシの方へ体を向けて畳に両手をつき頭を下げた。

「カカシさん!先日は、たいへん失礼な事を言いました!申し訳ございません!お許しください!」

イルカに先手を打たれ、カカシは少し動揺した。
ついつい身近に来たイルカの姿に気を取られ、半ばボウッとしていたのだ。


目の前の光景に、アスマが紅に耳打ちをする。

「何か有ったのか?」
「まあね。いいから二人の世界にしといてあげて。」

そこへ料理や酒が運ばれてきた。

「イルカ先生、頭をあげてください…。」
「…はい。」

仲居が下がり、アスマが「よし!飲もう!」と言ったところで
今度はカカシがイルカに頭を下げた。

「イルカ先生ごめんなさい。俺も酷い言い方をしてしまいました。」
「 ! カ、カカシさん!カカシさんは別に…。」

そんな二人に紅がウフフと笑い

「良かったわねぇ?仲直り出来て。さ、乾杯しましょ。早く飲んで食べたいわ。」

 
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