≡ 連載もの・2 ≡

□たかが中忍されどイルカ H
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「ゲンマさん!朝飯は!?」
「食ってる暇ねぇ!!先行くわっ!!世話んなった!!」

昨夜 酔ったゲンマはイルカの部屋に泊めてもらい
朝 起きるなり 「やべっ!!」と 慌てて身支度をすると
先に起きて朝食の用意をしていたイルカに

「七時半までに集合だった〜!!」

と 慌てふためいて言ったのだ。

「大丈夫かなぁ…ゲンマさん。」

彼が慌てて出て行った、玄関を見たままイルカが呟いた。

テーブルの上には焼きたての卵焼き

「仕方ない。弁当でも作って持って行ってやるか。」

ふんっと思い切り溜め息を吐くと
戸棚から弁当箱を取り出し、ゲンマの分の卵焼きや鮭
あとは漬け物などを詰め込んだ。

自分には握り飯。弁当箱が一つしか無いから

イルカは朝食を済ませると、寝室の床に敷いた来客用の布団を片付け始めた。




***




昼になり イルカはゲンマの居所を探すべく、彼の居そうな所を探し回った。

もしかして…と思い上忍待機所へも足を運ぶ


「失礼します。ゲンマさんは いらっしゃいますか?」
「あら、イルカ。どうしたの?」

紅がアスマと戸口まで歩いて来た

「あの…。」

と、そこでアスマの後ろにカカシが居る事に気づき

不覚にもドキリと、ときめいてしまう

「いえ、あの…弁当を…。」
「弁当?ゲンマにか!?」
「はい。夕べ泊まられて、朝食を食べる暇も無く出て行かれたものですから。」

あっけらかんと そう言うイルカに
慌てたのは紅だった。

「ちょっとイルカッ、泊まったって…あんた達‥」
「?ああ‥例の噂ですか?あはは。」

まだ話をしている途中で、カカシがアスマの後ろから出てくると

「先に行ってるよ。」

と、イルカに目もくれずに横を通り過ぎ
ポケットに両手を突っ込んだまま歩いて行ってしまった。

「カカシったら…。で、イルカはゲンマとどうなってるの!?まさか…」
「何もないですよ?夕べ一緒に飲みに出て、飲み過ぎたゲンマさんを泊めただけです。」
「おめぇら 付き合うとか付き合わないとか言ってた仲じゃなかったか?」

イルカはハハハ!と笑い

「ただの“友達”付き合いですよ。夕べだって布団別です。変な想像しないでくださいよ?」

クスクスと笑いながらアスマに言った。

「本当に‥何も無かったのね?」

紅がホッとしたように言うと

「俺達も今から飯食いに行くんだ。ゲンマの居所なんざ知らんが見つかるといいな。」

アスマがイルカの肩にポンと片手を置いてから


「紅、早く行くぞ。いつ呼び出しくらうか分かんねえ。」

と言い、カカシが去った方向へ向かい出す

「…じゃあね。」

アスマの後を追うように紅も行ってしまった。

「仕方ない。自分で食うか。」

手の中の弁当を見て、ゲンマに渡すのは諦める事にした。





アスマと紅が少し遅れて食堂へ着くと
戸口で佇むカカシが見えた

「あら、先に食べていて良かったのに。」
「独りで食べるのも何だしね…。悪いが二人の邪魔をさせて貰うさ。」

ふふ‥と笑うと一緒に店内へ入った。


席に着くなり、紅がイルカの事を話し出す

「なんだか あの二人、結局ただの友達止まりのようねぇ?ホホホ…。」

しかしカカシは無反応で外方を向いている

『カカシったら…本当に気にならないのかしら…。』
「でもよぉ、手作り弁当だぜ?結構イルカも その気なんじゃ…ゴフッ!」

紅の肘鉄がアスマの言葉を止めた。

『アスマの馬鹿!!余計な事 言ってんじゃないわよっ!』

チラリとカカシを見ると、愛読書を開いて読み出したようだった。

「お弁当を作って持って来てくれるなんて、イルカらしい優しさよねぇ?」

カカシに向かって話しかけると

「…そうだね。」

と、顔も上げずに返事が返ってきた

 
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