お宝部屋

□「‡つぐみ‡」 yuki様より
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カカシの戸惑い〜押してもダメなら引いてみな篇 カカシ×イルカ

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「 カカシ〜 」

通りの向うから、でっかい声で俺を呼ぶ悪友に シカトを決め込みながら

気持ち少し早目に歩を進めると

すぐさま駆け寄ってきたアスマに

「 なんだよ、逃げんなよ 」とガッシりと肩を組まれた

露骨に嫌な顔をする俺に構う事無く

「 聞いたぞ おまえ、アカデミーの教師に入れ込んでるらしいじゃねぇか 」

内心ビクリとしたが、聞き流す

「 で、イルカは 落とせたのかよ 」

呼び捨てが気になり

「 顔見知りなの? 」

ボソリと呟いた俺の言葉に、ニヤニヤしながら

「 あいつも戦争孤児だ 親父の所に、よく出入りしてたからな 」

俺の表情に変化が無いか、探っている

腕を振りほどき「 あっそっ 」短く答えたが、まだ諦める事無く

ニヤニヤしているアスマに

「 おまえ、そんなに暇なの? 」

シッシッと手で払いながら、嫌味で言うより早く

「 あ、イルカ〜 」

俺を呼び止めた時同様に、でかい声を張り上げた

その名に、そちらに視線をおくると

名を呼ばれた張本人が、アスマを見留 手を振ろうとして

隣に居た俺を見て、顔色を変えた

おいおい、仮にもアカデミーの教師が そんなに露骨な表情をしていいのか

ましてや、俺は上忍 中忍より立場上よ〜

溜息を吐くと

一部始終を凝視していたアスマが

「 なんかあったのか? 」

なんて、興味津々に聞いてくる

なんか… ねぇ…

そう、あれは ついこの間の事

俺は、受付の花゛なんて言われ 噂になっていたあの人に ちょっと興味本意 で近づいた

男で、こんなもっさりとした中忍が どうして受付の花゛なのか 納得いかな かったからだ

親しくなるには最初は、飯でも と思い誘ったのに


意図もあっさり断られた

何度も言うケド、俺上忍よ

上からの誘いを断るなんてアリなのか?

しかも、誘われた事は数知れずあるが 自分から誘った事など 今まで一度も無い この俺の誘いを…

衝撃的だったが

ぐっと堪え、都合が悪かったのだろう と

また、別の日に誘ってみた

でも、結果は同じで

何回誘っても、答えは゛NOなのだ

「 イルカ先生は、アレですか… 俺に気の無いフリをして気を引くタイプ? よくいるんですよねぇ そういう風に、皆と違った手で 逆に気を引こうとする人… 」

早口で捲し立て、ここまで言ったら この人泣いちゃうかな

ちょっと大人気無かったか…?

心配になってイルカ先生の顔をチラ見したら

すんごい、ポカンとした顔の後 みるみる眉間に皺を寄せて

「 … はぁ?! 」

と聞き返された

思い切り露骨な不機嫌に、怯んでいると

「 カカシ先生は、アレですか… 俺のものは俺のもの おまえのものも、当然俺のものだよねぇ 的なタイプ? よく居るんですよねぇ そおいう肩書にもの言わせる方 」

ちっとも笑ってない冷ややかな眼差しに 両の口角を強引に吊り上げて

もう近寄るなとばかりに、シッシッと手を振り払い

呆然とする俺を一瞥すると

スタスタと歩いて行ってしまった

「 カカシ? 」

アスマの呼び声を、適当にあしらい

そそくさと踵を返した イルカ先生を追う

いい加減距離を置いて後をつけたのに

「 カカシさん、どこまでついてくるつもりですか…? 」

これ見よがしな大きな溜息で振り返り

両手を腰に当て、ギロリと睨む

へぇ〜 感知の能力はなかなかなんだ…

ただの、ぼんくら中忍て訳じゃ無いのね〜

上から見下ろす俺が勘に触るらしく

眉間の皺が深くなる

「 あんたは、俺にどうしろと言うんですか 」

どうしろって…

「 俺は、ただ… 」

口にしてから、改めて考えていると

苛立つように

「 何がしたいんですか 」

強い口調

「 俺は、ただ… イルカ先生と 飯でも… と 」

モゴモゴと答える俺に

「 だから、なんで 」

興味本意で… なんて、言っていいのだろうか…

この人、凄く怒りそう

しかし、そもそも なんで俺は、こんなにこの人に執着しているのか

あんな噂を真に受けて

普段の俺なら、他人に固執する事も 興味を持つ事も無かった

なのに なぜ…

「 自分でも… 分からない… 」

呆れたイルカ先生が

「 じゃあ、結論がでてから 話しましょう 」

また、足早に去ってしまいそうなイルカ先生の腕を咄嗟に掴み

俺が、口走ったのは 

「 俺が、忍びでも なんでもなくなって… 」

咄嗟に出た言葉は、全くの予想外のもので

柄にもなく擦れた声も、震える手も

全然俺らしく無く、情けない

そんな無様な様子を、知ってか知らずか

俺の言葉など、聞く気も無く去ってしまうだろうと思っていたイルカ先生は
先ほどの不機嫌さなど微塵も無く

俺の言葉をちゃんと待っていてくれて

それは、まるで アカデミーの生徒に向けるそれと似たような感じがし

恥ずかしい気もするが

胸に込み上げる温かいものに

一度大きく息を吸い込むと、後押しされるように言葉が続いた

「 …持ってるものも、全部無くして… 朽ちた身一つになっても… 」

震える指先を、ポケットにしまい

「 それでも… 帰れる場所で あって欲しい… 」

何俺、こんな事言っちゃってんだかと恥ずかしくて 後悔しきりの俺に

イルカ先生は、ニッコリと笑って

「 いいですよ 」 と言った

俺には、そのイルカ先生が 天使に見え

急速に顔が紅くなるのを感じ、慌てて俯くと

見た目よりも全然大きなイルカ先生の手が

わしゃわしゃと俺の頭を撫でた

「 カカシさん、ゆっくりとやっていきましょう 」

俺は、情けなく どうする事もできず

「 よろしくお願いします… 」

小声で呟くのが、精一杯だった




end



******

これは私がアニナル「カカシ暗部編」で「イルカ先生との出会い編は、いつやるのかな?」と言った事から
「イルカ先生との出会い編の後“カカシの戸惑い〜押してもダメなら引いてみな〜編”→“バカップルイチャイチャ編〜イルカ大ピンチ!〜”へと続く…」
と妄想大王yukiちんが言い出したのがキッカケで本当に話を作ってくれたものなのです!!
2周年だから、ちょーだいとおねだりしたのでござる(^^)v
(≧3≦)yukiちんThank you!!

 
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