*過去拍手文*

□食うなよ
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一楽のカウンター
イルカの目の前には大好きなチャーシュー麺

なのに


「 はぁ…… 」

うなだれて溜め息を吐いている

「先生、早く食わねえと伸びちまうよ。」
「 はい… 」

テウチに促され、だらんとさせてた手をカウンターに乗せたが…

「 はあ…… 」


イルカは凄く落ち込んでいた。胸がシクシクして堪らない。


「こんばんは〜」

と、そこへ 暖簾が上がり、カカシが ふらりと入ってきた。

「おや、イルカ先生じゃないですか。 ん?どうしたの?」
「…いえ。お構いなく…。」
「女だよ、女!女にフラレちまったんだよ 先生は。」
「!ちょっ!テウチさん!言わんでくださいよ!!」

「へぇ…。」とニヤケ顔でカカシが椅子を一つ空けて座る

「あ、醤油お願いします。」
「あいよ。」

チラリとイルカを見ると、あちらを向いてしまっている。
耳が赤いので、バラされた事に恥ずかしさを感じているのだろう。

「先生、恥ずかしい事じゃないでしょ?誰だって失恋のひとつやふたつ…」

クスッと笑って話しかけたが

「 カカシさんはフラレて失恋した事有るんですか。」

あちらを向いたまま暗い声で返された。

落ち込むイルカはカカシが来た事によって、今度は ふてくされてしまったようだ。


カカシがフラレる訳がない
モテない男の気持ちなんて分かるわけがない

『 何が“誰だって… ”だっ。』

「先生、そんなに その女の子が好きだったの?」
「 いいじゃないですか。もういいんです。」
「付き合って二ヶ月しか経ってねえんだとさ。」
「だーーっ!!テウチさんっ!!説明しなくていいです!!」

勘弁してくださいよ と、半分べそをかいて懇願した

「イルカ先生、ラーメン食べちゃわないと…。食後にビールでも奢りますよ。さ、食べて食べて。」
「…本当ですか?ビールご馳走してくれるんですか?」

口を尖らせ、ふてくされたままの顔で聞いてきたイルカに

「うん。俺で良ければ愚痴聞きます。」

カカシは頷いてニッコリ微笑んでみせた。

そんなカカシに、少しは気を取り直したのか
イルカはズルズルとラーメンを啜りだした。




「で、俺はぁ‥つまんない男なんだそうです。」

ビールと酒と、へこんだ気持ちが いつにも増してイルカを酔わせていた

「カカシさん、聞いてます?」
「聞いてますよ。ま、たいした女じゃないですねぇ。イルカ先生の良さに気づかないなんて。」
「でしょー?でしょー?」


俺のどこが悪いんだー!何が「つまんない」だ馬鹿やろー!と、イルカが拳をあげると

「そうだ そうだ!イルカ先生最高ー!」と、カカシも拳を上げた

「カ…カカシさん。嬉しいです。そんな風に言ってくれて…。」
「あ〜あ‥ほら泣かないの。俺は本当の事しか言ってないですよ。」
「俺なんて…ほんっと、つまんない奴なんです。」
「いや、あんた さっき自分でそれ否定して…てか、そんな事ないですって。」
「うう…カカシさん優しい。今日は沢山愚痴っていいですか。」

カカシに背中をさすられながら、イルカは涙を拭った

「勿論 いいですよ。なんだったら俺んち来ます?飲みなおしましょ?」

カカシの言葉にコクコクと首を縦に振り

「カカシさん優しい〜。俺惚れちゃいますからね〜。」

と、酔っ払いの戯れ言を吐いた

「はいはい。惚れてください。あ、テウチさん お金ここ置いてくね。」

さ、行きましょう。立てますか?肩貸しますよ。と
カカシはイルカが立ち上がるのを補助する

それを見ていたテウチが

「カカシさん、すいませんねぇ。先生も こんな風に酔う事は滅多に無いんですがね。」

そう言い心配そうに酔ったイルカを見ていた


「大丈夫です。俺も明日は休みだし、介抱しますから。御馳走様。」
「あいよ。ありがとさん。頼んだよ。」

そしてイルカの肩に手を添えて出て行くカカシをからかうように

「カカシさん、間違ってイルカ先生食っちゃうなよ。」

と 声をかけた。

「ははは…まさか そんな。テウチさんも冗談キツいよ。」

カカシは軽く笑いながら帰っていった。



数日後

「へい らっしゃい!お、イルカ先生!」
「こんにちは。味噌チャーシュー二つね。」
「二つ?」

ナルトでも一緒なのかと思ったら

「どーも。」

カカシが続けて入ってきた。

「なんだい なんだい、先日の酔っぱらい二人かぁ。」

ははは…と笑って二人を見ていたが…

時々見つめ合い「うふふ」と笑いあう姿が、そこに有った


こりゃ 食ったし、食われたな。


幸せそうな二人を見ていると
まあ そんな始まりもいいか…と
見て見ぬ振りを決め込んだ。


イルカ先生を泣かすなよ カカシさん

    byテウチ








 

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