*過去拍手文*

□カカシさん拗ねる
1ページ/2ページ



只今 カカシさんの御機嫌斜め中

原因は、この俺。

理由は 「かまってくれない。先生は嘘吐き。人が良すぎ。」 なのだそうで

…うん。 俺が悪いんだ。
人の仕事 頼まれてさ、家に持ってきた。

家で仕事をするのは珍しくないことだけど
それが三日以上続くと流石のカカシさんも淋しくなるようで

三日目の昨夜
「これでお仕舞いです。明日からは、ゆっくり二人でテレビでも見ましょう。」なんて言ったのに

今日の帰り際、同僚に声をかけられ

「頼む!俺、今日彼女と初めてのデートに漕ぎ着けたんだ!今夜を逃したくないんだ!」

でも明日の朝まで纏めなければならない物が有って…と、手渡された資料とノート。

正直『え〜…?』とゲンナリしたが
人の恋路を邪魔するのも心苦しく「わかったよ。今度酒でも奢れよ。」と了解してしまったのだ。

「ありがとうイルカ!!恩に着る!!」

そう言って、本当に嬉しそうに帰って行ったアイツを見たら
まあいいか…って思ったし、逆に「頑張れよ!」なんて思ったりもした。


「…デートくらい、日にちズラしゃあいいんですよ。」

仕事をしている俺の後ろで カカシさんがブゥたれる。


「俺が女なら、自分より仕事を優先する男の方が信用できます。」

じゃあいいじゃないか。それって今の俺でしょ?

「でもさ 人の仕事まで請け負って、恋人放って置く奴はもっと許せません。」

あ やっぱ駄目なのか

俺は筆を置き、カカシさんの方を見て謝った。

「だから…ごめんなさいって謝ったじゃないですか。俺も悪かったなぁって思ってます。」
「 …… 」

ジト目のカカシさんは、それでもまだ口を「へ」の字に曲げたまま俺を見ていた。

「 “仕方ないなぁ、もう”って感じで謝ったのが気にくわない。」
「 え? 」
「 ちょっと出てくる。先生となんて居たくない。」
「 出てくるって何処に…。」

立ち上がったカカシさんは
そばに置いてあった褞袍(ドテラ)を手に、外へと行ってしまった。

『いくら寒くなって来たとはいえ、いい男が褞袍を着て外歩くなんて…。』

彼が出て行った玄関ドアを見つめ、呑気に そう考えて
褞袍を着て白い息を吐いて歩く彼の姿を想像したら
なんだか可愛くて、思わず「ふふふ。」と笑ってしまった。

追いかけなくていいのかって?
大丈夫でしょ。いい大人なんだから。

前にも一度同じ様に「先生の馬鹿!知らないからね!」なんて言って出て行った事がある。

その時は 可哀想に思って、少し経ってから探しに行ったんだ。

何のことはない。
歩いてすぐの公園のベンチで、不貞腐れた顔で忍犬に囲まれていた。

あの時は そんなカカシさんの姿が可笑しくて「プーッ!」と吹いてしまったけど
なんか可愛いな…とも思ったりもしたんだ。

きっと今日も あのベンチで、八忍犬に囲まれているのかな
あの日とは違い、もう冬も間近で外は寒いから犬達で暖を取っているかも。


「 ……そろそろ迎えに行こうかな…。」

仕事も、あとほんの少しで終わりそうだし
彼が出て行ってから四十分は経ってるよな

俺も褞袍を来たまま首にマフラーを巻いて外へ出た

「うへぇ!夜の冷え込み半端ねぇ!」

両の手を褞袍の袖口に腕を組むように入れて、大きめのマフラーに鼻先まで埋もり
あの公園へ足を向けた。

『いや待てよ。こんなに冷えてきてるのに、外になんて居ないか。』

もしかしたら、ちょいと一杯 酒でも引っ掛けにいったかもしれない。

出来れば後者であって欲しいと願いながら
冷たい風を切って小走りに先へと進んだ


「 ! カカシさん… 」

まさか 一時間近くも此処に居たのか?

彼は公園のベンチに、やはり犬に囲まれて暖を取るように膝を抱えて座っていた。

 
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ