*過去拍手文*

□貴方に一筆
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その夜 イルカはセッセと年賀状を書いていた。

外は寒空。
イルカは炬燵で丸くなり生徒達や巣立った子供達にも書いていた。

イルカの横ではカカシが上半身だけ炬燵から出し、うつ伏せ状態で本を開いている

「…カカシさんは年賀状書かないんですか?」

せっかくこうして年末に時間が有るのに、友達には出さないのかと聞くと

「え〜?いいですよ面倒くさい。どうせ毎日のように待機所で顔会わせてんだから。」
「面倒くさいって…。まあ…いいですけどね。人それぞれだから。」

こちらを見ようともしないカカシの後頭部に話しかけた

「でも年賀状送られてきたら嬉しくないですか?」
「…今更 誰も送って来ないよ。俺が出さないの知ってるし、要らないって言ってあるし。」
「そうですか…。」

この様子じゃあ 本当に誰にも送っていないし、送られてもこないようだ。

『俺は嬉しいけどなぁ…。元教え子が遠方から送って来たのなんて特に。』

スラスラと筆を走らせ遠くに派遣されている子や色々と問題を抱えてた子などを思い出す。

『 そうだ。 』

イルカはピンと閃いて ハガキを一枚、裏返しにして目の前に置いた。


『…ん〜…。あけましておめでとうございます…いや、謹賀新年でいいか?』

“今年も宜しくお願いいたします。”

『ん〜と…』

書きたい事は沢山ある。 沢山あるけど…

『貴方のイルカより…と。』

これでいい。これだけでも喜んでくれそうな気がする

「せんせー、まだまだかかる?俺眠くなってきました。」
「先に寝ていていいですよ。」
「やーです。せんせーの傍に居る。此処で寝てるから終わったら起こしてください。」
「まぁた炬燵で寝るんですか!?」

呆れたような窘(タシナ)めるような声で聞いても
「うん。おやすみ。」と、スゥ…と眠りだしてしまった。

まったくもう!と文句を言いつつ、眠るカカシの横顔を見つめ

正月に この一枚の年賀状で、どれだけ喜んでくれるかな
‥もしかしたら喜ばないかも…?

どちらでもいい。
来年も一緒に無事に一年過ごせるならば と

また筆を走らせ 遠く思いを馳せた






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