*過去拍手文*

□運命の人
1ページ/2ページ




予感がしたんだ


結婚が決まった暗部の後輩が、仲間に話しているのを耳にした。

「予感…て言うのか直感って言うのか…。初めて彼女を見た時“あ、俺この人と結婚する”って思ったんだ。」

聞いていると、それは特に“一目惚れ”ってわけでもないようで。

「顔見て可愛い!とかさ、別にドキリとしたわけじゃなかったんだけど。」

ただ何となく“結婚する”と感じたらしい。

俺から言わせて貰うと、そんなのただの結果論であって…

他の女性と付き合いだして結婚した時には、きっと同じ事を言っていたに違いない。

「あれ?カカシ先輩何処へ?」
「うん。俺はこれから上忍としての通常任務を少し…。」

それから俺は 三代目に頼まれていた御使い程度の任務をこなし
寄り道もせずに夕方には帰里した。

帰り道では あの結婚が決まった後輩への結婚祝いを考えてみたりもした。

何がいいかね。やっぱりお金包んで御祝儀だけでいいのかな。

ふと また後輩の言葉が頭に浮かんだ


 予感がしたんだ


予感て言うか直感なんだろうね
容姿に惹かれたわけでもない、好きとも思わない内に

『いきなり結婚するかもって何なのよ。』

ホント そこがよくわからない。

綺麗な女なら忍びの世界にだって沢山居る。
後輩が結婚する相手の顔を写真で見た事があるが
ん〜…なんて言うか。普通‥かな。まあ、間違っても俺のタイプじゃないね。
そんな感じの平凡な特別上忍の子だった。

『暗部やってると、ああいう感じの家庭的な雰囲気の子に惹かれるのかもね。』

そんな事をつらつら考えながら、火影に任務報告へ行くと

「通常任務じゃ。ほれ、報告書をやるから きちんと書いて受付へ持って行け。」

と、暫くぶりに見た“報告書”とやらを渡された。

俺、字に自信ないんだよね…。

ちぇっ と心の中で舌打ちをしつつ、火影室を出てから
近くの壁に報告書を押し付け、尻のポーチからチビた鉛筆を出して書き始めた

「えーと…まずは名前…と、任務内容か…」

暗部に入って数年。その前には部隊長ばかりやっていて
報告書なんざ部下に書かせてチェックしていたくらいだから
自分で書くのは……何年ぶり?

「…はあ…お世辞にも綺麗とは言えない字だ。だから嫌なんだよ。」

字は書くもんじゃない。読むものだ。

そうしてこれまた超久しぶりの受付へ行く

「次の方!」

報告書を持った下忍、中忍、上忍が、ひしめき合って二列に並んでいる。

勘弁してよ。こうして並ぶのも嫌いなんだよね。

「あら カカシ…」

報告書を出し終えた数人のくのいちが、俺に声をかけていく。

一応俺も微笑み返ししてみたものの、何処のどなたかサッパリ覚えちゃいない。

『最近は花街しか行ってないし、関係が有ったとしても十代の頃?』

いろいろ いろいろ考えながら、少しずつ前に進み

『俺にもいつか現れるのかねぇ?この人だっ!て女がさ。』

しかし なんて言うか…ひと目見るなり“結婚するかも”なんて本当に思う?普通。

「はい、次の方。」

あそこで笑って手を小さく振ってる女…

ちょっとイイ女だな。今夜声かけとくかな。

「次の方?報告書を出してください。後ろの方の迷惑です。」
「 あ? 」

気が付けば俺の番が来ていたらしい 。

目の前には窓を背後に受付の男が


男が…


「?すみませんが早く報告書を。」
「 …あれ?…あんた何処かで会った?」
「は?いえ。初見かと。それより早く報告書をください。」

彼の言われるままに報告書を差し出した俺だが
不思議と彼の顔や後ろに結んだ髪から目が離せないでいた。

「…はたけ‥カカシ上忍でしたか。お名前だけは存じておりました。」

に しても酷くね?この報告書。って顔して俺の書いたものを見ている気はするが

 
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ