※カカイル短編2※

□イルカ先生風邪をひく
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「え?イルカですか?あいつなら今しがた早退しました。」

カカシが受付に報告書を持ってくると、居るはずのイルカが座っておらず
代わりに知らない中忍が座っていた。

「なんだか風邪気味のようでしたよ。“帰って寝る”なんて鼻声になっていたし…。」

心配して聞いてみると、交代したらしいその男がイルカの様子を教えてくれた。

『 風邪…。 』


実は密かにイルカに心寄せているカカシだったので
少し心配になり、様子を見に行く事にした。



その頃イルカは 一人トボトボと自宅へ向かって歩いていた

『医者の不養生って言うけど、忍者の不養生だよなぁ…俺。』

今アカデミーの子供達の間で風邪が流行っている。

気をつけていたつもりだったが どうやら頂いてしまったらしい。

『う…少し頭痛もしてきた…』

家に薬が有ったはず。帰って速攻飲んで寝よう。

こんな時に独り身だと非常に寂しい
せめて心配してくれる彼女くらい居れば良いのだが…

『こんな時に優しく看病されると結婚を意識するって‥誰か言ってたよなぁ…。』

熱と寒気と体の怠さで「ハァハァフゥフゥ」と辛そうな息切れをしながらも
家へ家へと足を進めた。


『ヤバい…急がなきゃ。眩暈が…』

ふらっと体が傾いた時

『 え? 』

ふわりと何かがイルカの体を包んだ

『誰かの…腕…。』

「先生大丈夫!?ダメじゃないですか、こんなになるまで…」

顔を上げ、抱き止めてくれた相手の顔を見る。

「カカ‥シさん。」

拙い所を見られたな…と、思わず へらりと笑うと

「 ! …わ‥笑っている場合じゃないですよっ。」

何故かカカシが顔を赤らめ怒っている

「すみません‥俺…うわっ。」
「先生の家、こっちですよね?行きますよ。」
「カカ…」

いきなり抱えられ(しかも お姫様抱っこ)驚きはしたが

『体が怠かったから楽チンだぁ。…でも申し訳ないなぁ。』

しかしどうしてカカシさんが?偶然通りかかったのかな

ああ‥でも彼が通りかかってくれなければ、あのまま倒れていたかも。

重い筈の自分の体を容易く抱えて 時には塀も乗り越え近道していく

『…あれ?俺 家を教えた事…』

有ったかな?と思う間もなく

「着きました。鍵を下さい。」
「え?あ、いえ ここからは自分で。」

大丈夫です、と立たせて貰うが

「先生!ほらっ!」

フラつく体を またもや支えられ

「駄目ですよ、さあ鍵貸して。」


なんだかんだと断る間もなく、気が付けば
イルカはベッドに寝かされ、体温計と薬の有る場所を聞かれて教えていた

『なんか知らんが カカシさんが俺んちで動き回ってる。』

パタパタと薬箱を出したり水を汲んできたり

「はい 先生、薬飲める?」
「あ はい。…なんだかすみません…。お恥ずかしい…。」

熱で火照った顔で そう言うと

「う…。」と 何故か またもや顔を赤くしたカカシが

「の 飲めないようなら…飲ませてあげますが…。」

と 至極 真剣な顔を近づけ言ってきた。

飲ませてくれるって?どうやって?

『 あ。 まさか。 』

相手が弱っていて水も上手く飲み込めないときには

『 くちうつし!? 』

昔 アカデミーで習った事がある。実習は無しだったが。
当時は悪友達と「どうせやるなら美人な“くの一”と!!」と笑いあった。

「の‥飲めると思います。自分で。」
「ほんとに?」

ズイッと更に顔を近づけ聞いてくる。

『ち、近い近い!!顔近いから!!‥て…はっ!!』

これはもしかしたらカカシの素顔を見るチャンスかもしれない!?

『いやいや待て待て俺。薬くらい飲めるだろ。喉は痛く成ってきてるが飲み込めない事ない…。』

 
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