※カカイル短編2※

□秋祭り
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子ども達が笑いながら楽しげに駆けて行き
浴衣を着た若い男女は手を繋ぎ、二人にしか聞こえない声で会話をしてクスクスと戯れ
ぞろぞろと お囃子の聞こえる方へと人々が向かう

今宵は里の秋祭り
沢山の露店が建ち並び、里の人々で賑わっていた。


そんななか イルカは急いで仕事を終わらせ、アカデミー教師による 屋台の手伝いへと駆けつけた。

「すまんすまん!!お待たせ!!」

店は二つ。タコ焼きと金魚すくいをやっていた

「イルカ!早速だが金魚すくいの方を頼む!」

と 言うわけで、イルカが金魚の水槽の前に急いで座ると
「これ夕食ね。」と タコ焼きを1パック手渡された。

まだ客足も そう多くはない今のうちに‥と、タコ焼きを頬張りながらの店番を始める。


「あ!イルカ先生だ!!」
「先生だ!!」

甚平や浴衣を着たアカデミーの生徒達が寄ってくる。

だいたい寄ってくるのは年齢の低い生徒達。
卒業間近なクラスの生徒だと、遠巻きに見て「ちぃーっす。」と挨拶する程度が殆どだ。

なかには男女手を繋いで歩いている生徒も居る。

『ちぇ、お前ら十年早いんだよっ。』


店の前を楽しそうに仲良く通り過ぎるのを据わった目で見送っていると

「イルカ先生!!俺 金魚すくいやるぞ、これ!」
「私も〜。」
「ぼ‥僕もやる。」

と 教え子達がやってきた。

「お〜木の葉丸にモエギにウドン!!」

イルカはニカッと笑い、一人一人の頭を撫でた。

「いいか お前ら、下手な小細工使って取るのは禁止だからな!!」

忍者アカデミーの生徒だけあって、ちょっとした細工はお手の物だからだ。

「先生酷いぞこれっ!ちゃんと正々堂々取るんだからな!!これっ!」
「わかったわかった!悪かったよ木の葉丸。」

しかしたまに上級生でチャクラを上手く操る事が出来る子だと

『上手く金魚をすくい集めるからなぁ…。』

一〜二匹なら見逃すが、あの小さなポイ(すくい枠)に
昨年は一気に十匹以上の金魚を山盛りに すくった子が居たのだ。

『無駄にチャクラ使いやがって…。金魚山盛りは有り得んだろ、普通。』

「取った!先生見て!!私一匹すくえた!」
「僕も。ほら先生。」

モエギとウドンが喜ぶ横で

「なんだこの金魚!!すばしっこいぞこれっ!先生、取れないように訓練させたな!?これっ!」

ムキーッと金魚を狙って悪戦苦闘していた木の葉丸だったが…

「 あ 」


ポイに穴が開き、おしまいとなってしまった。

「こ‥木の葉丸くん…。」

仲間の二人も唖然として見ていたが、木の葉丸の集中力の無さにイルカも溜め息を吐いた。

「ふんっ!!金魚なんて要らないぞ!持って帰るのが面倒なだけだこれっ!」

世話も面倒だしな、と強がる木の葉丸だったが
他の二人の手にしている金魚をチラリと見る目が羨ましそうだった。

「そうだなぁ木の葉丸。世話が大変だよなぁ。」
「?そ、そうだぞ これっ。だから金魚なんて…」

いつの間にやらイルカの手に袋に入った金魚が有った。

「さっき先生が練習で取った奴なんだけどよ、忙しくて面倒みれるか心配なんだよなぁ。」
「 …… 」
「でもせっかく取ったし…どうしよう。」

スッと木の葉丸の手がイルカの前に伸びてきた。

「先生 無責任だぞ。仕方ないから俺が育ててやってもいいぞこれっ。」
「そうか!!引き取ってくれるか木の葉丸!!いやあ良かった。助かった!」

木の葉丸は少し頬を赤らめながらもムッとした表情で金魚を受け取り

「金魚一匹飼えないんじゃ、いつまでたってもお嫁さんも貰えないぞ先生。」

と、余計な一言を残していった。

『 …あながち間違いではないだけに何も言い返せれんな。』

 
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