※カカイル短編2※

□初めての恋人
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イルカ先生と付き合い始めて半月が経つ。

彼に心を奪われ、隠しきれない恋情を
二人で飲みに行った帰りに打ち明けた。

少し考え込んだ先生だったが、返事はイエスで
その後三日目には躊躇う彼を説き伏せて体を繋げた。

それからは三日と置かずに彼を抱いている。

今まで幾人の女を抱いたか覚えちゃ居ないが
イルカ先生ほど俺を夢中にさせる人は居なかった。

俺にとっては まさに初めて「恋人」と呼べる人が出来たのだ。




「カカシ?元気?暗部引退したんですって?」

たまに むかし体の付き合いが有った女と遭遇する。

無視してくれてもいいのに、図々しく声を掛けて来る奴も居たりする

「引退…て言うか、呼ばれれば行くけどね。」

すでに興味も無い女だし、今の俺にはイルカ先生と言う大事な人も居るのだが
突き放す理由も無いので会話くらいは付き合う。

「ねえ…今誰か特定の人でも居るの?」
「…さあね。教えないよ。」
「意地悪ね。」

女はクスクスと笑いながら 正面から俺の腰に手を回す。

「今度また遊ばない?」
「お前も大概に…」


「しろよ。」と言う前に、人の気配がして振り向いた。

「 !イル… 」


そこには、両腕で数冊の忍術書を抱え
こちらを見たまま固まっているイルカ先生が居た


「 誰? 」

女が怪訝そうな顔で、俺の肩越しに先生を睨む

「 失礼しました。気が付きませんで。」

先生は無理に作ったような笑顔を見せ

「 ごゆっくり。 」

と、背を見せ 今来た方向の角を曲がって行ってしまった。

『 …て…え?ちょっ… 』

正直 自分には 何故イルカ先生が怒っているのか(怒っていたよね?)分からなかった。

別に目の前の女とイヤらしい事してた訳でもないのに。
話をしていただけなのに。

強いて言えば、腰に回された女の手か。  でも そのくらいで?


「先生!!待って!!」
「ちょっとカカシ!!」

女の事など放っておいて、俺はイルカ先生を探した。


「 ! 先生!!待って!!」

彼は本を抱いたまま、スタスタと廊下を歩いていた

「待ってくださいよ!!何怒っているん…」

肩を掴み振り向かせると、目が潤んでいたのでドキリとした。

え!?泣いて…

しかし先生は すぐに背を向けてしまった

「先生…あの…?」
「 すみません。俺、鈍くって。」
「 え? 」

背を向けたまま先生が話し出した

「 お邪魔はしませんし、別に俺の事は良いですから。彼女の所へ行ってあげてください。」
「 …… 」

邪魔しないって どういう事?
俺の事は良いですからって どういう事?

なんで俺があの女のとこへ戻んなきゃ行けないの?

ちょっと腹が立った。
なんだか腹が立った。

「先生 何か勘違いしてませんか。あの女とは関係有りませんよ。」

今はね。

「話してただけですよ。ね?機嫌なおして?」

もう一度 彼の肩に触れたが、スッと肩を外され
先生が険しい顔で振り向き俺を見た。

「カカシさんは そう思っていても…あの方は違いましたよね?」
「 え? …ああ…」

やはり腰の手が気になったか
俺としては別段なんとも思わなかったが。

「 不愉快にさせてしまったのなら謝ります。ごめんなさい。」


 
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