※カカイル短編2※

□イヤリング
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秋も深まり
そろそろ鍋でもしましょうね なんて
イルカ先生に膝枕で耳掻きしてもらいながら幸せに浸っていたら

「 あ、カカシさん。火影様の連絡鳥が…。」

見ると窓辺に白い小鳥がキュルンと首を傾けながら此方を見ていた。

「何なのよいったい!イルカ先生との幸せな午後を台無しにしてっ!!」

ぷりぷり怒って窓辺に近寄れば、小鳥は一枚の紙になる。

「なんでした カカシさん?急ぎの任務でも?」
「せ‥せんせぇ…。」

近寄るイルカ先生に泣きそうな顔で振り向くと

「 あ 任務なんだ? 」

と、サラッと言われた。

「 え!?先生 それだけ!?悲しくないの!?一緒に鍋食べられなくなるんだよ!?」
「長いんですか?」
「ひと月くらい離れる事になりました。」

せんせぇ〜と泣きつく俺に

「ちょっと長いですねぇ。でも帰って来る頃には、今よりもっと鍋に相応しい時期になってますよ。」

と、ハハハと軽く笑っていた。



それが約ひと月前の事。

あの時 軽く笑っていた先生だが
任務に出る前の晩 お互い激しく求め合い、見つめるなかで

「ちゃんと無傷で帰るんですよ?俺の所へ帰るんですよ?」

そう切なげな顔で言ってくれた。


そんな可愛い可愛い‥俺のイルカ先生!!
貴方のカカシは 今家へ向かっていますよ〜

早く先生に会いたくて、任務報告は猫面の後輩に押し付…頼んで
俺は軽快な足取りでピョンピョンと屋根づたいに
愛しのイルカ先生が待つアパートへと向かった。

先生には今日の夕方には帰りますって式を送ってあるし
ましてや日曜日だから、きっと鍋の用意でもしてくれているに違いない。

見えてきた!!俺達の愛の巣!!

俺は玄関に回るのも もどかしく
目の前に迫ってきた裏窓(=寝室)に飛び移り
鍵が掛かっていようが難無く開けて部屋へと入った。

あ、もちろん靴は脱いだよ。
先生に叱られるからね。


に しても

『あれ? 先生居ないのかな。…気配が無いよね…。』

寝室の襖を開き、居間を見るが 先生の姿は無かった。

「 ……。 」

なんだか凄い焦燥感に襲われる。
だって 早く先生の顔が見たくって
叱られるのも一つの楽しみだったりして、裏窓から堂々と入って来て…

先生 居ないって どういう事!?


『おちつけ俺。 急に仕事が入ったのかもしれない。』

ううう…。 すぐにでも顔が見たかったのに。

ただいまっ!!て、抱きついて先生の匂いを胸いっぱい吸い込んで堪能したかったのに。

「あれ?」

台所に鍋の支度が出来ている。後は温めるだけ?

「どこ行っちゃったんだろう。」

ちょっと不安に思った時

「 !! 」

アパートの階段を駆け上がってくる足音が聞こえてきた。

その足音は、この部屋の前で止まり…

先生が鍵をポケットから出すより早く
俺は玄関ドアを開けて素早く彼の腕を引き寄せ室内へと…
いや、俺の腕の中へと入れた。

「 !! カカシさん!! 」
「せんせ ただーいまっ。会いたかった。どこ行ってたの?」

イルカ先生をギュウギュウ抱きしめて、彼の耳元や頬の辺りの匂いを嗅ぐ。

「どこって‥これです。」

何やら手にしている袋の音をカサカサさせているが
俺は今、ひと月もの先生不足を補うべく
ギュウギュウ抱きしめたり匂い嗅いだりチュッチュと首やら顔やらにキスするのに忙しくて
先生の手にしている物を見る隙は無かった。 と言うか、足に当たる感触で酒瓶だというのが分かる。

「先生 俺の為に酒買ってきてくれたの?」
「そうですよっ。もういい加減離してください。鍋の…」
「だーめっ。俺“ただいま”って言ったのに。」


ぷうっと膨れてみせれば、先生はハッと気づいた顔をして

「 ごめんなさい。では改めまして。」
「 うん 」
「お帰りなさい。無事に帰ってきてくれてありがとう。」
「 ん。 」

そして お決まりの「お帰りなさい」のチュウですよ〜。

ん〜〜〜 先生だぁ。先生の味に飢えてたんだよねぇ俺。

なので 俺は もっともっと! もっと先生を!!って顔を寄せ、唇を離したがらなかったのに
つれないイルカ先生は、酒を床に起き 両手で俺の両頬を挟むと 無理やり顔を引き離した。

「 ぷはぁーっ!! って、俺を窒息死させる気かっ!! 」
「 せんせのイケず…。 」

 
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