※カカイル短編2※
□カカシ君のイルカな日々・番外編
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小さなカカシは 見かけによらず何でもそつなくこなす。
今はイルカ先生の好意により、居候させて貰っているので
「せんせー、洗濯機回しといたよ。」
洗濯までしている始末だ。
「カカシ!そんな気を使わなくても…」
「だって夕べ、お風呂入る時に言ってたでしょ?これが最後のパンツだって。」
「!!! あ〜…カカシ‥。先生は枚数持っていないだけで‥」
「いいよ。俺の洗濯物も有るし。」
「 はい…すみません…。」
カカシは赤くなって下を向くイルカの手を取り
「夕飯の買い物行こ?俺、先生のカレーが食べたい。茄子が入っているやつ。」
と、にっこり微笑んだ
「野菜カレーか。」
「うんっ。“野菜ごろごろカレー”」
カカシが初めて来た日に作ってくれた、いろんな野菜が入ったカレー。
野菜が大きめに切ってある、男の料理だ。
「野菜も沢山食えよ」と作ってくれたはいいが
どちらかと言えば、先生自身に その言葉を返したいと思うカカシだ。
「さ、買い物行くか カカシ。」
「 うん。 」
アパートを出て 二人で木の葉商店街へ向かう。
「 ! 」
「 …… 」
カカシがそっと手を繋いで来たので、一瞬驚きはしたものの
ふとカカシを見下ろすと
真剣且つ『いいでしょ?』と懇願するような顔で見上げていたので
イルカも何も言わずに微笑みながら小さな手を握りしめた。
何でも出来る優秀な子だが、まだまだ“親”には甘えたい年齢だ。
『本当の親御さんが生きていらしたら自慢の息子だったろうに。』
そう思うと少し切なくなり、自然と握る手にキュッと力が入った。
カカシはチラリとイルカを見上げた
イルカは真っ直ぐ前を見ながら歩いている。
握る手の力は、何を意味するのか。
幼い子供への庇護欲?
手を握りしめてきた子供への只の愛情返しか。
どちらでもいい
彼に触れていられるなら
夕刻には まだ早く、学校も休みの今日は
商店街の店が全て開いているわけではなかった。
カカシが顔馴染みになってきた八百屋も、今日は閉まっている
「先生、俺 野菜カレーじゃなくていい。八百屋さん閉まっているもの。」
「大丈夫だよ。あっちの八百屋が開いてるからな。」
「…いい。行きたくない。こっちの源さんの店がいい。」
カカシが いつになく我がままを言うのでイルカは不思議に思った
「 ? あっちの八百屋のおばさんに、何か言われたりした?」
こそりとカカシに耳打ちした
「何も言われてないけど…お喋りでウルサい。」
「あのなぁ…カカシ。」
あれは威勢がいいって言うんだよ。悪い人じゃないだろ?
そう促し「ほら、行くぞ。」と、カカシの手を引いて再び歩き始めた
『先生たら…。でも俺あのおばさん苦手なんだよね。』
悪い人じゃないのは分かる。分かるのだけど。
「あらー!イルカ先生いらっしゃい!!おやっ!居候の坊やも来たのかい!?」
「…こんにちは。」
元気で明るい良い人だ。 だが
「ちょっと先生、いいお話が有るんだけど。」
これだ。