※カカイル短編2※

□似て非なる
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「ちょっと聞いて〜ヒナタ〜。」

ケタケタと笑いながら、サクラがヒナタの肩に手を置いた。

「え‥どうしたの?サクラちゃん…。」

ここは見晴らしの良い丘の上。
今日は同期の仲良し女子だけでランチでも食べようと集まった。
と、言ってもメンバーは三人。サクラにヒナタ、そして いのだ。

「サクラ!!あんた 人の失敗を鬼の首取ったみたいに喜ばないでよっ!」
「いのったらね〜え。」
「いのちゃんが、何か失敗でもしたの?」

有り得ない失敗よ!!て、言うか見間違い? サクラは顔から笑みが拭いきれないと言ったニタニタ顔で話し出した。

「いいじゃん。急いでたんだからさぁ。」

いのも半分諦め顔で、サクラを見る

「昨日シカマルとイルカ先生を間違えて、先生の頭を叩いたんだって!!」

ぶわははは!!と、腹を抱えて笑うサクラを避けて、いのがヒナタに説明した。

「だってさ、背丈こそ違えど どっちも同じように髪を結び上げてるのよ?」
「いのちゃん‥イルカ先生を叩いたの!?」

オロオロと心配するヒナタに
「先生 石頭だから大丈夫よっ!」と、いのが言い放つ。

「でもさ〜あ、いの?いくらなんでも同じ班の仲間の後ろ姿を間違える?」
「だーかーらっ!図書館に居るのはシカマルだけだと思ったのよ!!」


よくよく話を聞くと
いのは集合時間に姿を見せないシカマルに苛立ち
人づてに「図書館で見た」と聞き、急いで図書館に行ったそうで
そこで目に留まったのが本棚の棚と棚の間から一つに結んだ髪。
てっきりシカマルだと思い込んで

「“ちょっとアンタ!時間守りなさいよ!!”って…シカマルかと思ったイルカ先生の頭を背後からバチンッと叩いたのよ…。」

またもやケタケタ笑うサクラの横で、ヒナタは青い顔をしていた。

「イルカ先生 びっくりしてなかった?謝ったの いのちゃん?」
「当たり前よ、謝ったわよ。理由を言ったら笑いながら許してくれたわ。」

しかし いの脳裏には頭のてっぺんを手で抑え、涙目で泣き笑いしながら許すイルカの顔が浮かんだ。

『まじ痛かったんだわ‥先生。‥私腹立てて思い切り叩いたしなぁ。』

先生 ホントごめんねぇ と、再び心の中で謝った。

「同じ班の仲間と恩師を間違えるなんて考えられないねぇ?いの。」
「「「 !!! 」」」

三人の後ろから聞き覚えのある声が

サクラが ゆっくり振り向きながら言い返した

「カカシ先生、女子の話を盗み聞きですかぁ?」
「だーかーらっ。カカシ先生どこから聞いてたの?私 急いでいたし腹立てていたし…」

「こ‥こんにちは。カカシ先生…。」

カカシは やれやれと言ったふうに三人に近寄ってきた。

「いの、草葉の陰でアスマが泣くぞ。」
「こんな事でアスマ先生の名前出さないでくれます?」
「共に苦労した班の仲間だよ?チラリと見ただけで髪の色や質、色気で分かるだろ。」

色気?

「だいたい いのは背後からって事は、全身も目にしたって事だろ?」
「ですからぁ、頭に血が上っていたからシカマルだと思い込んでいたんですってば。」

やれやれ… 再び溜め息を吐き、肩をすくめながら
カカシは三人を通り越し眼下に広がる里を見た。

「全身見たら咄嗟であれ分かるはずだよ?いの。」

三人は顔を見合わせ、少しの間 カカシの説教に付き合う事を覚悟した

「イルカ先生とシカマルじゃあ、体格だって違うだろ。」

シカマルは まだまだ青臭い感じじゃない?
どこもかしこも引き締まりすぎて固そうな体してるよねぇ
若いからねぇ、まだ大人になりきれてないからねぇ

それに比べてイルカ先生はさぁ、やっぱ大人の色気って言うの?
引き締まった体ながらも、柔らかみが有るって言うか…
お尻もシカマルよりは少し大きめで、でも固からず柔らかすぎず

あ、「大人の色気」の話だよ?先生のお尻が可愛いとか色っぽいとか見ると興奮するとかじゃないよ?
俺 そこまで変態じゃないから。
とにかくさ、俺から見た限りでは
可愛いイルカ先生と青臭いガキのシカマルを見間違えるなんて信じられないって言うか


「ねぇ…なんか延々と話が続きそうよね…」
「充分変態じゃないのよカカシ先生。なんで男の体について、あれだけ力説出来んのよ。」
「しかもイルカ先生の事、可愛いとか色っぽいとか…。おかしくない?」

背中を向け、誰かさんの顔を思い浮かべるが如く空を見上げながら
カカシは半ばウットリとイルカの素晴らしさ可愛さ、シカマルとの違いを説いていた。

「行きましょ、いの。」
「うん。変態親父は放っておこ。」
「え?でもまだカカシ先生が話を…」
「いいのよ、構う事ないわよ。行くわよヒナタ。」

サクラは戸惑うヒナタの手を取り、サッサと丘から離れていった。


「君達には分かるかなぁ。イルカ先生の素晴らしさが!!あんなに生徒を親身になって…」

両手を広げ、くるりと振り向くと 誰も居なかった…

「…あっそ。 ちっ、俺とした事が‥先生の話に夢中で、あいつらが居なくなった事に気が付かなかったな。」

ふん まあいいさ。 と、カカシも歩き出す。

あいつらに夜の艶っぽいイルカ先生を見せてあげたいけどね〜
でも 駄目駄目。 誰にも見せないよ〜


独り言を楽しげに語りながら カカシも丘を立ち去った







 

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