※カカイル短編2※

□ひと目会ったその日から・前編
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「人って寒い季節が近づくと恋人が欲しくなるものなのねぇ…。」

窓辺に立ったアンコが北風の吹く寒そうな外を見ながら
ふうっと溜め息を吐いて そう言った。

「なによ〜?どうしちゃったのアンコ!?」

ニヤニヤと笑いながら紅が
アンコの真意を確かめるべく近付いてくる

「急に彼氏でも欲しくなった?男なんて面倒くせぇーって叫んでたアンタが。」
「違うのよ。」

くるりと振り向いたアンコの眉間には皺がよっていた。

「私じゃないのよ。カカシよ、カカシ。」
「カカシィ!?あいつが何を今更?」

黙っていたって女の方から寄ってくるでしょーに

「今朝ね、今度の中忍試験の事で集まった時にカカシも居てさ。」

火影が来る前に雑談していたが、そのうち

「ねえ、誰かいい子いない?俺も三十だし、まともな彼女の一人くらい作っておこうかと…」

と、言ってきたのだそうだ。

「な〜によカカシの奴…。やっば今まで付き合ってたのは遊びだったって事じゃない。」
「遊び…って言うか、体だけよね。おかげで何度刺されそうになった事かアイツ。」

ククク…と肩を震わせるアンコだが

「三十路になれば 男も焦るのかしら?紅、誰か良い人いない?」

と、紅に頼ってきた。


「大丈夫なの?カカシ、まともに付き合えるの?」
「そこなのよね〜。考えてみたら、まともに付き合ってる人なんて見た事ないかも。」
「そうだ!カカシに奢らせてさ、本人から もう少し話を聞かない?」
「いいねぇ それ!聞かなきゃ、どんな子がいいのか分からないもんね?」

早速アイツを呼び出そう!!
アンコと紅はタダ酒が飲める喜びでキャアキャア手を取り合った。





「……で、俺が頼んで相談するわけでもないのに俺の奢り?」
「何言ってんのよ!ケチくさい事言わないの!里一番の稼ぎ頭がっ!」
「そうよっ!あっすみませ〜ん!ビール三つくださーい!!」

カカシは不本意ながら居酒屋で、アンコと紅を目の前に座っていた。

「彼女欲しいんでしょ?どんな子がいいのよ。くのいち?一般人?」
「ん〜…。くのいちがいいかな。仕事の事わかってくれるだろうし…。」

運ばれてきたビールで乾杯をしながらカカシは溜め息を吐いた。

『くそっ。何気に言った事だったのにアンコの奴め…。』

別に彼女が欲しくて焦っているわけでも、必死なわけでもないのだ。

『なんだかねぇ…最近あっちの方は御無沙汰だし、寒空見てたら何となく…ね。』

人肌恋しくなったのか、我ながら歳だなぁ‥と実感する



さて暫く 雑談をしたのち、紅が切り出した

「ねえねえカカシ、くのいちで教師って‥どうよ?」
「教師か…。」
「いい子いるのよ。顔も可愛いし、スタイルも‥まあまあ。」

私達には負けるけどねー!と、紅とアンコが笑う

『…こいつら見てたら教師やってる子の方が絶対良さそう。』

「ね、どうする?会ってみない?真面目で優しくって、あんたには勿体ないかも…って子よ?」

そう言われては会わずにいられるか!
俺には勿体ないって、どういう事だ!?

「会いますよ。会やあいいんでしょ?」
「まじ!?いいの!?彼女に都合の良い日、聞いとくわ!」

いや、俺の都合も聞いてね? そんなカカシの小さな願い事など既に耳に入れず
紅とアンコは「決定〜!かんぱーいっ!」とグラスを鳴らしていた。




後日 カカシは紅に呼び止められ

「明日の夕方、甘栗甘で会いませんかって。はい、彼女の写真。」

と、教師の写真を渡された。

「へえ…可愛いね。」

肩までの長さの波打つ髪は栗色だった。
確かに真面目そうで優しそうで…

『まあまあ…かな。』

「じゃあ頑張ってね。どんな感じだったか教えてねv」

うふふ‥と、人の恋路の行く末が気になって仕方ないという風に
紅は笑顔で去っていった。

 
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