※カカイル短編2※
□ひと目会ったその日から・中編
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カカシを酒酒屋に連れてきたイルカは
予約しておいた店の一番奥のテーブル席へ店員に案内して貰った
「ささっ、カカシさんは此方へお座りください。」
イルカが指定したのは、店内へ背中を向けて座る席。
これならば、おいそれとカカシの素顔を晒す事には成らないはず
「顔見くらい見ても大丈夫ですよ。お気遣いありがとう。え‥と‥」
「あ!これは失礼致しました!わたくし、もみじ先生の同僚の うみのイルカと言います!」
なんて可愛い名前…
“イルカ”だなんて、愛嬌の有るこの人にピッタリな名前だと
カカシは目を細めて彼を見た
そうして指定された椅子に座ると、イルカも向かい側の席へ腰を下ろした。
「カカシさんは、もみじ先生には初めてお会いするのですか?」
もみじ? ああ‥紅達が紹介するって言ってた写真の子か
「写真で顔は知っています。可愛い方ですよね。(貴方もvvv)」
にっこりと微笑むカカシの反応に、ホッとするも 少し寂しい気持ちも影をさす。
『誰か俺にも彼女紹介してくんねーかな。』
「イルカ先生は、まだお一人ですか?誰か良い人でも?」
「 ! え!?あ、アハハハッ!残念ながら今は彼女も居ませんっ!」
「ホントに!?」
「 ? は‥はい。」
何故だか やけに嬉しそうに聞き返す上忍に少し戸惑うイルカだったが
きっとモテない中忍を馬鹿にしてるのかも…と思うと軽く凹んだ。
間もなく目の前にビールやら摘みやらが運ばれ、イルカはカカシが待ちくたびれないよう
もみじ先生が如何に素敵な女性か、如何に素晴らしい教師であり中忍であるかを話し続けた。
が、カカシは話をじっくり聞いているようで聞いていない
ただただ喋り続けるイルカの表情だけをジィッと見ているだけのようにも見受けられた。
『なんだか この人‥目つきがポワンとしてないか?』
時々嬉しそうに目を細めて見られたら、なんだかドキドキしてしまう。
口布を外した素顔の美しさにも度肝を抜いたが
顔は綺麗だが男から見つめられ、こんなにドキドキした事は無い
『てか、見つめられた事もない。』
そんな事を考えていたら、話す勢いが急に沈んできてしまった。
「え‥と。カカシさんからは質問有りませんか?俺が知っている限りの事をお答え…」
「先生は好きな食べ物は何?」
「好きな食べ物!?そーですねぇ‥いつだか甘栗甘の蜜豆が美味しいって…」
「いえイルカ先生の、ですよ。」
「 え!? 」
俺の?と 何故か頬を染めたイルカは自分で自分を指差した
「い‥一楽のラーメンです。」
「あ〜あ。知っています。美味しいですよね。今度一緒に食べに行きましょう。」
「え!?俺とですか?」
「うん。…駄目?」
イルカの顔が真っ赤に熟れる。
『な 何この人!?すげー熱視線なんですけどっ!!』
さすが噂に違わぬ“はたけカカシ”!!
多分…て言うか、絶対普通に男の中忍を気軽に食事に誘ってみただけなのだろうが
そのモテ男のフェロモンたるや半端無い!!
イルカが顔を赤くしてドギマギしていると、漸く もみじがやってきた。
店内側に顔を見せて座っているイルカに駆け寄り
「お待たせしました!すみません!」
と、カカシの横に立つやペコリと御辞儀をした。
「急な用が出来たもので…」
と、顔を上げ 目の前のカカシを見て固まる
『だよなー。この人の素顔は、初めて見た人を石にするよなぁ。』
だいぶ慣れてきたイルカは席を立ち、赤い顔で固まり続ける もみじに助け船を出した
「さあ座って、もみじ先生。さあさあ。」
「 ! あ、すみません…。お顔…初めて拝見したもので…その…」
不躾に顔を凝視していた事に漸く気付きながら
もみじはカカシの向かい側に座った。
「良かったですね、思ったより早く終わったようで。では俺はこれで…。」
自分の分の飲み代は払っていきます、と 立ち去ろうとした時
「イルカ先生、まだいいじゃないですか。座ってください。」
カカシに呼び止められた
「え?でも‥」
「お願いします。俺、こういう場に慣れていなくて…。」
と、チラリと向かい側で まだ顔を赤くしている もみじを見る。
「もちろんイルカ先生が居てくれた方が、私も その‥」
と、もみじもモジモジしながら「心強いかも‥」と更に赤くなっていた。
「そうですか?‥では今日は特別ですよ。」
エヘヘと笑い、その実 まだカカシと飲んでいられる事に満更でもないイルカだった
「では遠慮なく‥」
そう言いながら、イルカが もみじの横に座ろうとした その時
「違います!!そこじゃないでしょっ!」
と、カカシが焦ったように声を荒げた
「 へ!? あ すみませんっ!」
びっくりして肩をビクつかせたイルカは目を大きくしてカカシを見た
『 あ、そうか。自分の恋人になる女性の横に 俺を座らせたくないんだ?』
なるほど。 なんだ 結構もみじ先生ってば気に入られたみたいだ