※カカイル短編2※

□ひと目会ったその日から・後編
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「あら、もみじちゃん。」
「あ、紅さん アンコさん。」


パタパタと忙しそうに走る もみじを捕まえて、紅とアンコが詰め寄った。

「ちょっと カカシどうだった?」
「まさか いきなり手ぇ出されていないでしょうね。」
「え!?まさか!!そんな…。」

真っ赤な顔で手に持つ資料集をギュッと抱きしめるもみじだったが

「正直 あまり覚えていないんです。あまりに高名な方だし、あまりにその‥お綺麗な方だったので…。」

ボーっとなって、ドキドキし過ぎて

「でも、帰りは送ってくださいました!」
「へ〜え。少しは前向きに考えてくれたかしら?」
「カカシ翌日から任務行って居ないしね。帰ってきたら聞きましょアンコ。」
「え!?任務に出られたのですか?」

どうかしたの?と紅が聞けば、今度の日曜にデートの約束をしたのだと言う。

「まじ!?やるじゃんカカシ!!」

と、アンコが はしゃいだのも束の間

「イルカ先生が提案してくださって…」

と、これまたモジモジとしながら、嬉しそうに予想外の名を口にした。

「イルカ?なんでイルカ先生が出てくるの?」

そこで もみじは甘栗甘で待ち合わせた日の出来事を話した。


急な用事で待ち合わせに大幅に遅れそうになった事
それで困り果てていた自分にイルカが声をかけてくれた事

「イルカも一緒だったの!?」
「で、なんでデートにイルカも一緒に行くわけ?」
「それは…」

カカシが二人きりだと何を話していいのか、どうしたら良いのかわからないとの事で…

「私もイルカ先生が居てくれた方が心強いですし…」
「嘘でしょう?カカシがぁ!?」

驚くアンコに軽く肘を打ちつけた紅は

「わかったは。頑張ってね。」

と、漸く もみじを解放した。

「ねえ、カカシの奴 案外真面目に考えてるんじゃない?」
「なんでよ、カカシが“どうしていいかわからない”なんて嘘くさくない?」
「まあね。でもまあ…もう少し様子を見てみましょうよ。」

どうやらイルカが上手い具合に仲立ちしてくれているようだし

「日曜のデートに間に合うように帰ってくれば‥おおいに期待出来るかもよ。」





カカシは土曜の夜には里に戻ってきた。

普通に戻れば日曜の昼頃になるだろうという距離を
少しも休まず走り続けたらしい。

「ねえ、カカシ帰ってるって!?」
「そうなのよアンコ!びっくりだわ!!」

明日のデートを覗きに行きたいのも山々。


「私 明日の朝から里外任務なんよねぇ…。」
「アンコも!?私も暫く離れるのよ。」

帰ってきたら良い結果が待ってるかしら?
またカカシに奢らせようじゃないの!

二人は早くも、何処の料亭で飲むか盛り上がっていた。




翌朝

木の葉南公園前には、イルカと もみじの姿が有った。

「待ち合わせの時間には、まだ五分ありますね。」
「すみません‥イルカ先生、お付き合い頂いて。」

傍目から見ると、この二人がカップルの様に見えなくもない。

「来てくれるかしら…。」
「何言ってるんですか!話によれば、カカシさんは里外任務から夕べ遅くに帰里したらしいですよ。」

本当は、もっと時間かかっても可笑しくないのに。

「もみじ先生とデートをする為だと思うなぁ。」

ふふ…と笑って彼女を見ると、心なしか曇り気味の顔付きだ

「?何か心配ごとでも?もみじ先生。」

横から ついっと顔を覗くと

「私…カカシ上忍の事を考えると、胸がドキドキして…」
「へえ。ふふふ‥いいじゃないですか。」
「違うんです。高名な方だからドキドキするのであって…」
「 ? あ、来ましたよ。ほら。」
「あ、はいっ。」

見ると駆け足で二人に近付いてくるカカシの姿が有った。

「お待たせしました…。」

 
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