※カカイル短編2※
□星空の下、二人。
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忍界大戦も終わって 漸く里も落ちついた頃
カカシとイルカも二人の生活を取り戻し
前にも増して互いの存在の大切さを、実感する日々を送っていた。
カランコロンと下駄を鳴らしてイルカが歩く
頭上には満天の星
カカシの手には二人分の風呂桶やらタオルが入った大きめの袋
「せんせ、やっぱり大きい風呂は温まり方が違いますねぇ。」
「でしょう。たまに銭湯に来るのも良いものでしょ?」
洗いたての髪を靡かせクルリと振り向いたイルカは「ニシシ…」と笑い
少し戻ってカカシと並んで歩き始めた。
「 ! せんせ… 」
イルカの方から手を繋いできたので
珍しいなと思う気持ちと嬉しさで、チラリと隣の彼を見る
イルカは真っ直ぐ前を見て黙って歩くだけであったが、頬は風呂から上がりたてより赤い。
「いいの?誰かに見られても。」
いつもなら人目が有るから駄目だと言うのに
「…いいんです。」
そうして更にカカシの手をキュッと握る
「嬉しいな。先生から手を繋いでくれるなんて。」
カカシはイルカと こうしていられる幸せを感謝すると同時に、愛しい人を目を細めて優しく見つめた
イルカは ずっと前を向いたままだったが、ヒョイと星空を見上げて言った
「俺…生まれ変わっても、またカカシさんと一緒に居たい。」
「 え? 」
「…友達としてでも、ただの同僚としてでも。年齢が違っても男でも女でも。」
夜空の遙か彼方に その世界が見えているかのように
イルカは顔を上げたまま ずっと一点を見つめていた
「カカシさんの母ちゃんでもいい。きっと嫁さんに嫉妬する母だろうけど。」
ニヤニヤとしながら話し続けた
「父ちゃんでもいいな。そしてカカシさんが女の子だったら、うんと甘やかすのに。」
ハハハ…と笑い、漸くカカシの顔を見る
「カカシさん?」
カカシは何故だか不満げな顔
「あのね。俺は…イルカ先生はイルカ先生でいて欲しいです。」
ぷうっと唇を尖らせた。
「それにそんな事言う先生は嫌いです。」
俺を…泣きたい気持ちにさせるから
愛されていると言う事が、泣きたくなるくらい嬉しいんです
「なんですかそれ。俺って普段 そんなに愛情表現薄いですか?」
「 うん 」
キュウ〜ッとイルカの頭を抱き寄せながら、カカシがコクコクと頷いた
「悪うござんしたねぇ。言葉が足らなくて。」
「そうだよ。だから偶に落とす爆弾に、気持ちが追いつかない。」
イルカを抱きしめたまま離れようとしないカカシの頭をヨシヨシしながら、イルカは困った顔で笑う
「カカシさん、湯冷めしちゃうから早く帰りましょう。ね?」
再び手を繋ぎ 歩き出す
先生。 生まれ変わっても手を繋いでくださいね。
はい。 離しませんよ。
星空の下で、くすくすと
小さな笑い声が二つ聞こえた
終