※カカイル短編2※

□恋心
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今日の俺は味噌気分。
昨日は豚骨醤油だったから 今日は味噌!

「味噌チャーシューにビールも付けたいところだが…。」

ラーメン一楽に行く途中。俺は立ち止まり、鞄から財布を出して中身を確認する。

「……チャーシューにビールは…給料日後だな…。」

クスン‥と悲しみに打ちひしがれ、トボトボと一楽目指して歩き出す。

今日は体術の授業を裏山で行い、生徒達と一緒になって野を駆け山を駆け…
終いには どうしてそうなったのか、相撲大会まで始まった。

俺は行司役のはずだったのに

「先生も勝負だ!!俺達と同じ歳に変化出来んだろ!?」

と煽られ

「よおーしっ!!勝負だっ!!」

豪快に煙を上げて子供になったのはいいが
体の大きい生徒五人には どうしても勝てずに終わった。

「面目丸潰れだぜ、まったく…。」

文句は言うが、それでも俺は「ふふ…」と笑いが出てしまう。

結局 授業は後半が遊びのようになってしまったが
あのキラキラした目で生き生きとした子供達を見るのが大好きなので
また忘れた頃に相撲大会でもやろうと思う。

てなわけで、俺は酷く腹が空いてる。

放課後は職員会議が有って(すっかり忘れてた。危うく帰るとこだった。)
早く一楽にラーメン食べに行きたかったのだが、そんな時に限って話が長引き
(同じ事を延々と話している感じ。)

そうして業を煮やした俺が(て、言うか腹へリ過ぎて苛立つ俺が)

「その事に関しては、やはり火影様の意見も聞いてみましょう!ここで ああだこうだ言ってても埒があきません!」

明日の朝にでも俺が聞いてきます!と会議を終わらせたのだ。

ぐうぅぅ〜

ああ‥俺の空っぽの胃よ!もう少しで味噌ラーメン食わせてやるからなっ!!

俺は右前方に見えてきた一楽の暖簾に向かってダッシュした!

ダッシュ… あれ?

何故 俺は前に進めないのか?
それは何故なら誰かに右肩を捕まれているから。

「 て、 え!? 」

すぐに右後ろを振り返る。

「こんばんは、先生。慌ててどこ行くんですか?」
「カ、カカシさん!こんばんは…」

ああああ…神様の馬鹿っ!
これまた早くラーメン食いたい時に、憧れのカカシさんの登場だなんて!!
俺にダイエットしろって事ですか!?二日連続ラーメン食うなって事ですか!!

「えっと…イルカ先生?何故に悲しい顔?」
「あ、いえ。はははっ!!」

今度は俺の馬鹿っ!
どうやら顔に出ていたらしい。


「先生、良かったら一楽でラーメンでも食べて行きませんか?」
「 え 」
「俺に奢らせて?ちょっと報酬入ったし。」
「ご馳走になっていいんですか?」

するとカカシさんは、目を弓形にして
(ニッコリ笑っているらしい。片目しか見えないが。)

「はい。宜しければビールも付き合って頂けると嬉しいです。」
「え!?ビール!?はいっ!!喜んで!!」
「うふふ。良かった。」

ああ神様。先ほどは馬鹿などと言ってしまいすみませんでした。
馬鹿なのは俺だけで充分。

突然「ぐうぅぅ〜!」と鳴った俺の腹に、カカシさんは笑うどころか
「大変だっ。急ぎましょう!」と、俺の腕を掴み一楽へと駆け出した。
そうして店に入るなり

「味噌チャーシュー大盛二つ!!大至急ね!あ、先にビール二つ!!」

と注文すると、空きっ腹にビールって大丈夫?とまで気遣って聞いてくれ

「チャーシューだけ皿に少し出してくれる?」

とテウチさんに頼んでいた。

「カカシさん‥スゲェ。」
「 ん? 」

チャーシューもビールも今日は諦めていたのに。全て叶えてくれた。
何も教えたわけでもないのに、俺の食べたかったもの飲みたかったもの全て与えてくれる。

「…カカシさん…読心術が使えますね?」
「いえ。特別な事は…。なんで?」

 
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